芸術的経営者を追求する、江幡公認会計士税理士事務所の心のブログ

月: 2010年4月

割引手形

 通常、割引人は金融機関(銀行)で、割引依頼人はその取引銀行と銀行取引約定書を締結している者(融資取引のある者)である。金融機関は、割引された手形代金を割引依頼人の当座預金/普通預金へと入金する。当然、満期日まで待って手形の振出人に支払いを請求する場合に比べて受け取る金額は少なくなるが、即時に現金化したい場合によく用いられる。単に割引と略称されることがある。
 なお、銀行は手形を割引く際に使用する銀行取引約款書の第6条に買戻し特約を設けている(以前は、どの銀行も全国銀行協会が制定した約款書のひながたを使用していたが、現在は各銀行で独自の約款書を用いているため、条項が異なる場合はあるが、内容に差異はないと思われる)。通常、満期に支払を拒絶されたり手形振出人の信用状態が極度に悪化したため支払が不確実になった場合でなければ手形所持人が裏書人に対して代わりに支払をなすよう請求すること(遡求という)はできない。しかしこの約款書の規定により、割引依頼人(銀行に手形を裏書譲渡した裏書人)の信用状態が悪化した場合には、たとえ満期日前であったり手形の支払が不確実になったといえなかったりしても、割引依頼人は割引手形を買い戻す義務が生じる。多くの場合、銀行はこれによって生じた債権と割引依頼人が有する預金債権を相殺することで債権を回収する。
 手形割引を実行した場合の貸借対照表上の処理は2通りである。
 割り引いた手形金額を受取手形の残高から減額し、欄外に注記として「受取手形割引高」を付記する(本則)。現行の金融商品に係る会計基準により、手形割引または裏書譲渡を実行した時点で手形の消滅を認識すると規定されているためである。
 割り引いた手形金額を受取手形の残高から減額せず、流動負債に勘定科目「割引手形」を計上する。割引した手形の期日が1年以上先であっても、流動負債とすることが多い。但し、現行会計基準により割引または裏書譲渡を実行した時点で手形の消滅を認識し負債とは扱わないため、受取手形残高を減額せず負債として「割引手形」を計上する処理は現在はあまり一般的ではなくなっている。
銀行などで手形割引を実行した場合の費用は手形割引料と言い、経理上「手形売却損」として損金処理する。
 平成13年3月期から、「金融商品に係る会計基準」により「受取手形はその割引又は裏書譲渡時に消滅を認識する」と改正され、手形の割引又は裏書譲渡は実質的に手形の売却であると規定された。  手形割引料は、改定以前には実質的に手形を担保とした借入れの利息に当たるとみなされており「支払利息割引料」という勘定科目が使われていたが、改正により勘定科目も「手形売却損」へ改められた。改正以前には「支払利息割引料」は利息と同様に、割引いた手形の満期日までの日数によって日割り計算して期間配分し、満期日が当期の決算日以後の場合には翌期の分は利息の前払いとして計上しなければならなかったが、改正後は、手形を割引いた日付で「手形売却損」を一時の損失として全額計上する処理に改められ、手形割引料を利息として扱うことや期間配分する処理は認められなくなっている(金融商品会計に関する実務指針34)。

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源泉徴収義務者

 [平成21年4月1日現在法令等]
  会社や個人が、人を雇って給与を支払ったり、税理士などに報酬を支払ったりする場合には、その支払の都度支払金額に応じた所得税を差し引くことになっています。
  そして、差し引いた所得税は、原則として、給与などを実際に支払った月の翌月の10日までに国に納めなければなりません。
  この所得税を差し引いて、国に納める義務のある者を源泉徴収義務者といいます。
  源泉徴収義務者になる者は、会社や個人だけではありません。
  給与などの支払をする学校や官公庁なども源泉徴収義務者になります。
  しかし、個人のうち次の二つのいずれかに当てはまる人は、源泉徴収をする必要はありません。
(1) 常時二人以下のお手伝いさんなどのような家事使用人だけに給与や退職金を支払っている人
(2) 弁護士報酬などの報酬・料金だけを支払っている人(例えば、サラリーマンが確定申告などをするために税理士に報酬を支払っても、源泉徴収をする必要はありません。)
 なお、会社や個人が、新たに給与の支払いを始めて、源泉徴収義務者になる場合には、「給与支払事務所等の開設届出書」を給与支払事務所等を開設してから1か月以内に提出することになっています。
  この届出書の提出先は、給与を支払う事務所などの所在地を所轄する税務署長です。
  ただし、個人が新たに事業を始めたり、事業を行うために事務所を設けたりした場合には、「個人事業の開業等届出書」を提出することになっていますので「給与支払事務所等の開設届出書」を提出する必要はありません。
(所法6、183、184、200、204、229、230)
ちなみに、
第四章 報酬、料金等に係る源泉徴収
第一節 報酬、料金、契約金又は賞金に係る源泉徴収
(源泉徴収義務)
第二百四条  居住者に対し国内において次に掲げる報酬若しくは料金、契約金又は賞金の支払をする者は、その支払の際、その報酬若しくは料金、契約金又は賞金について所得税を徴収し、その徴収の日の属する月の翌月十日までに、これを国に納付しなければならない。
一  原稿、さし絵、作曲、レコード吹込み又はデザインの報酬、放送謝金、著作権(著作隣接権を含む。)又は工業所有権の使用料及び講演料並びにこれらに類するもので政令で定める報酬又は料金
二  弁護士(外国法事務弁護士を含む。)、司法書士、土地家屋調査士、公認会計士、税理士、社会保険労務士、弁理士、海事代理士、測量士、建築士、不動産鑑定士、技術士その他これらに類する者で政令で定めるものの業務に関する報酬又は料金
三  社会保険診療報酬支払基金法 (昭和二十三年法律第百二十九号)の規定により支払われる診療報酬
四  職業野球の選手、職業拳闘家、競馬の騎手、モデル、外交員、集金人、電力量計の検針人その他これらに類する者で政令で定めるものの業務に関する報酬又は料金
五  映画、演劇その他政令で定める芸能又はラジオ放送若しくはテレビジョン放送に係る出演若しくは演出(指揮、監督その他政令で定めるものを含む。)又は企画の報酬又は料金その他政令で定める芸能人の役務の提供を内容とする事業に係る当該役務の提供に関する報酬又は料金(これらのうち不特定多数の者から受けるものを除く。)
六  キャバレー、ナイトクラブ、バーその他これらに類する施設でフロアにおいて客にダンスをさせ又は客に接待をして遊興若しくは飲食をさせるものにおいて客に侍してその接待をすることを業務とするホステスその他の者(以下この条において「ホステス等」という。)のその業務に関する報酬又は料金
七  役務の提供を約することにより一時に取得する契約金で政令で定めるもの
八  広告宣伝のための賞金又は馬主が受ける競馬の賞金で政令で定めるもの
2  前項の規定は、次に掲げるものについては、適用しない。
一  前項に規定する報酬若しくは料金、契約金又は賞金のうち、第二十八条第一項(給与所得)に規定する給与等(次号において「給与等」という。)又は第三十条第一項(退職所得)に規定する退職手当等に該当するもの
二  前項第一号から第五号まで並びに第七号及び第八号に掲げる報酬若しくは料金、契約金又は賞金のうち、第百八十三条第一項(給与所得に係る源泉徴収義務)の規定により給与等につき所得税を徴収して納付すべき個人以外の個人から支払われるもの
三  前項第六号に掲げる報酬又は料金のうち、同号に規定する施設の経営者(以下この条において「バー等の経営者」という。)以外の者から支払われるもの(バー等の経営者を通じて支払われるものを除く。)
3  第一項第六号に掲げる報酬又は料金のうちに、客からバー等の経営者を通じてホステス等に支払われるものがある場合には、当該報酬又は料金については、当該バー等の経営者を当該報酬又は料金に係る同項に規定する支払をする者とみなし、当該報酬又は料金をホステス等に交付した時にその支払があつたものとみなして、同項の規定を適用する。
(源泉徴収義務)
第183条 居住者に対し国内において第28条第1項(給与所得)に規定する給与等(以下この章において「給与等」という。)の支払をする者は、その支払の際、その給与等について所得税を徴収し、その徴収の日の属する月の翌月10日までに、これを国に納付しなければならない。
2 法人の法人税法第2条第15号(定義)に規定する役員に対する賞与については、支払の確定した日から1年を経過した日までにその支払がされない場合には、その1年を経過した日においてその支払があつたものとみなして、前項の規定を適用する。【令】第307条
《改正》平18法010
(源泉徴収を要しない給与等の支払者)
第184条 常時2人以下の家事使用人のみに対し給与等の支払をする者は、前条の規定にかかわらず、その給与等について所得税を徴収して納付することを要しない。

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仙台の友人U

 仙台にUという友人がいる。Uは東京でのOL生活を謳歌していたが、旦那さんの仕事の都合により、現在は仙台に住んでいるそうだ。私はそもそも夜遊びをそんなにしないので、ベトナムに来ると、様々な情報をインターネットで入手するのが習慣となっている。そういうわけで、特にベトナムでは、主な知り合いのBLOGには目を通している。UのBLOGも例外ではない。
 Uは同郷M市の友人である。いい奴だ。その経緯は憶えていないが、私が公認会計士第二次試験に合格した際、真っ先にその旨を連絡した友人がUであった。合格発表当日だったか、Uは、同郷M市の友人達に連絡を取り、急なタイミングにも関わらず、多数の友人を集めて一席設けてくれた。渋谷の「いろはにほへと」だったか、それはそれは大人数で、殊のほか楽しいひと時を過ごさせて頂いた。私の大学の恩師が常々言っていた。「人生で心の底から喜べることの数は、5本の指に入る程度である。(何らかの試験の)合格、(一概には言えないが)結婚等々である。」と。「5本の指に入る喜びは、心の底から喜ぶべきだ。」と。
 喜怒哀楽を共有してくれる友人がいるということは、素晴らしいことである。同郷M市の友人達は高校時代の友人であり、大学・会社がそれぞれ異なる環境であるゆえ、疎遠になる人、話が合わなくなる人等々、温度差はあるものの、ある一時点で一堂に会し、楽しい時間を共有したのは事実である。私は、彼らの恩を忘れていない。いつか彼らの役に立てれば幸いである。

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幸福論②

 「幸福論①」に続き、今回も「幸福」について考えてみた。現時点で思うことは、ごちゃごちゃ言う前に、やはり、「『幸福』とは、現時点の自分を振り返り、自分で見つけるものだ。」ということだ。
 現時点の自分の「幸福」を例示列挙してみよう。あくまで例示列挙なので、「以下に記載していないことについては幸福を感じていない。」ということではない。ブレインストーミング的に湧き出てきた事項を記載したのみである。
 
 ①両親が健在で、最近は、密で深度あるコミュニケーションがとれていること。
 ②(いろいろ苦労もあるが)仕事があり、東京で暮らしていること。
 ③将来の仕事の展開に希望が持てること(=前向きでいられること)。
 ④知り合いの知り合いなどから思いがけない仕事の問い合わせがあること。
 ⑤出身国・老若男女問わず、訪れる各国で、素晴らしい出会いがあること。
 ⑥N氏・I氏と出会い、事務所をシェアさせて頂き、仕事上も励みになること。
 ⑦自分を気にかけてくれる先輩・友人がいて、時々メールをくれること。
 ⑧「人間力」に関する様々なアドバイスを根気強く教えてくれるO氏と出会ったこと。
 ⑨車の師匠であり、お客様でもある、S氏と今でも繋がっていること。
 ⑩中学・高校・大学と、個性的で忘れられない恩師に恵まれてきたこと。
 ⑪K氏との再会により、海外での仕事を経験できたこと。
 ⑫ベトナムのA社の社長が、自分を気遣い、自宅に招いてくれたこと(「菊水」を鱈腹飲んだ)。
 他にもたくさんあるが、とりあえずこの辺に留めておこう。このように、自分を振り返ると、1つ1つの出来事がありがたく思える。自分のことばかり考えていないで、意識を他者に向けると、「人」が愛おしく思える。これは不思議なことだが、自分の心次第で、「世の中のすべてが敵に見える」こともあるし、「世界中のすべてが自分の味方に思える」こともある(村上龍が同じことを言っていたかな)。すべては「自分の心」次第。現存しない飽くなき幸福を求めるのではなく、折を見て、今ある幸福を噛みしめたいものだ。

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ベトナムの監査法人

 日系企業がベトナムに進出する場合、必ず監査法人と契約を締結することになる。なぜなら、「DECREE No. 105/2004/ND-CP OF MARCH 30, 2004 ON INDEPENDENT AUDIT」の以下の規定の通り、外資企業は会計監査が義務付けられているからである。
Article 10.- Compulsory audit
1. Annual financial statements of the following enterprises and organizations must be audited by auditing enterprises:
a/ Foreign-invested enterprises;
b/ Organizations engaged in credit and/or banking activities and the Development Assistance Fund;
c/ Financial institutions and insurance business enterprises;
d/ Particularly for joint-stock companies and limited liability companies which participate in listing and trading on the securities market, the audit shall be conducted according to the law provisions on securities trading; if they borrow capital from banks, the audit shall be conducted according to the law provisions on credit.
 それでは、ベトナムにはどのような監査法人があるのか。大きくは以下の3つに分類できる。
 ①BIG4(Deloitte、KPMG、EY、PwC)
 ②ベトナム現地の中小監査法人(日本人会計士の関与あり)
 ③ベトナム現地の中小監査法人(日本人会計士の関与なし)
 日系企業に対するサービスを前提とする場合、我々専門家においては、まず、品質面については、「③<②≦①」と考えられている。①と②の比較が問題となるが、一概には言えない。なぜなら、ベトナムのBIG4の経営戦略において、日系企業自体、または、個々の日系企業クライアントの位置付けにより、投入する経営資源が決まってくるからである。②の方が、小回りが利き、きめ細やかなサービスが受けられる可能性が高い。③については、未知数(やってみないとわからない)である。
 次に、コスト面では、間違いなく「③<②<①」である。BIG4にはブランドがあり、多額の間接費が発生しているので、当然の結果である。③については、そもそもの物価水準と品質が反映されていると言えよう。②については、日本人が日系企業クライアントとベトナムローカル監査法人との間に入り、コーディネーターの機能を発揮する分、コストが上昇する。
 結局のところ、日本親会社が上場企業等であり、経営者の受託責任が大きく、それなりに監査コストをかけられる・かけなければならない企業は①、監査コストをかけられないが、ベトナム語・英語ができるなら③でもやっていけるかもしれない。②は①と③の間に位置する。②の特徴は、日本の公認会計士が日本語で対応する点である。日本の公認会計士ゆえ、日本本国の会計・監査事情を踏まえて対応する。しかしながら、ベトナムにおいて、質実ともに②の監査法人がいかほどあるのか、私が知っている限りでは、あの1社のみのような気がする。
 いずれにせよ、①・②・③のどれを選ぶかは、あくまで、経営判断である。

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UTM

 「UTM」とは「Under Table Money 」の略である。昨年10月、シンガポール公認会計士協会の方とベトナムに関する話をしている際に、彼が教えてくれた言葉である。「ATM」(=Automated Teller Machine)をベースに、その状況を揶揄した言葉であろう。ちなみに、シンガポールでは「UTMは一切ない」とのことである。
 私は国全体がそうではないと信じたいし、そうあっては将来の成長が望めないと真剣に考えているが、ベトナムでは、UTMが散見される。UTMがいけない事は皆承知していると思うが、UTMがあるのが現実なので、ベトナムでビジネスをやっていく上で避けて通れない問題でもある。無論、UTMをどうするかというのは経営判断であり、目に余るUTMを要求された場合等には、当局と闘うという経営判断もあると思う。
 それでは、UTMの会計処理・税務処理はどうあるべきであろうか。ビジネスの現実、UTMの管理、適正な期間損益計算、公平な課税の観点から問題となる。この点、UTMを支払うことを前提とするならば、以下の順序(あるべき順)で考えるべきであろう。
 
①会計上は、「その他経費」等の勘定科目で、「警察署に対する支払い」「税務署に対する支払い」等の事実を示す内容を明記して費用処理する。税務上は否認する。「正直」な処理である。
②会計上は、現地法人日本人マネジメントの給料に含め、当該日本人マネジメントに対する給料として処理する。税務リスクはあるものの、税務上も同様の処理をする。ただし、UTMが当該日本人マネジメントの課税所得となるので、個人所得税がその分増えることになる。
③会計上は、実際は現地法人日本人マネジメントが私的に支出した飲食代等について、公式インボイスを当該会社名で取得し、UTMを交際費としてカモフラージュして費用計上する。税務リスクはあるものの、税務上も同様の処理をする。この場合、会計上・税務上ともに交際費が実態を示さない金額となり、適正な期間損益計算・公平な課税の観点から問題がある。また、管理上、会計帳簿から離れた別管理が必要となる。
④何らかの方法で裏金をプールし、当該プールした金で処理する。会計上も税務上もオフ・バランス処理となるので、非常に好ましくない。また、管理上、会計帳簿から離れた別管理が必要となる。
 私は、公認会計士として、①をお勧めする。それか、せいぜい②か。いずれにせよ、UTMの取扱い・会計処理・税務処理は経営判断であるので、経営者の誠実性が問われることになる。

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消費税等と源泉所得税

 [平成21年4月1日現在法令等]
 弁護士や税理士などに報酬を支払った場合には、所得税を源泉徴収することになっています。
 この場合、源泉徴収の対象となる金額は、原則として、報酬・料金として支払った金額の全部、すなわち、消費税及び地方消費税(以下「消費税等」といいます。)込みの金額が対象となります。
 ただし、弁護士や税理士などからの請求書等に報酬・料金等の金額と消費税等の額とが明確に区分されている場合には、消費税等の額を除いた報酬・料金等の金額のみを源泉徴収の対象としても差し支えありません。
 例えば、税理士からの請求書に、税理士報酬105,000円とだけ記載されていた場合には、源泉徴収税額は105,000円の10%相当額である10,500円となります。
 これに対して、税理士からの請求書に、税理士報酬100,000円、消費税等5,000円と記載されており、報酬金額と消費税等の額とが区分されている場合には、源泉徴収税額は税理士報酬100,000円の10%相当額である10,000円となります。
(所法204、205、平元.1直法6-1)

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外貨建取引の換算

 第4款の2 外貨建取引の換算(左写真は「東インド会社」)
法第57条の3《外貨建取引の換算》関係
(いわゆる外貨建て円払いの取引)
57の3―1 法第57条の3第1項((外貨建取引の換算))に規定する外貨建取引(以下57の3-4までにおいて「外貨建取引」という。)は、その取引に係る支払が外国通貨で行われるべきこととされている取引をいうのであるから、例えば、債権債務の金額が外国通貨で表示されている場合であっても、その支払が本邦通貨により行われることとされているものは、ここでいう外貨建取引には該当しないことに留意する。(平18課個2-7、課資3-2、課審4-89追加)
(外貨建取引の円換算)
57の3―2 法第57条の3第1項((外貨建取引の換算))の規定に基づく円換算(同条第2項の規定の適用を受ける場合の円換算を除く。)は、その取引を計上すべき日(以下この項において「取引日」という。)における対顧客直物電信売相場(以下57の3-7までにおいて「電信売相場」という。)と対顧客直物電信買相場(以下57の3-7までにおいて「電信買相場」という。)の仲値(以下57の3-7までにおいて「電信売買相場の仲値」という。)による。
 ただし、不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務に係るこれらの所得の金額(以下57の3-3までにおいて「不動産所得等の金額」という。)の計算においては、継続適用を条件として、売上その他の収入又は資産については取引日の電信買相場、仕入その他の経費(原価及び損失を含む。以下57の3-4までにおいて同じ。)又は負債については取引日の電信売相場によることができるものとする。(平18課個2-7、課資3-2、課審4-89追加)
(注)
1 電信売相場、電信買相場及び電信売買相場の仲値については、原則として、その者の主たる取引金融機関のものによることとするが、合理的なものを継続して使用している場合には、これを認める。
2 不動産所得等の金額の計算においては、継続適用を条件として、当該外貨建取引の内容に応じてそれぞれ合理的と認められる次のような外国為替の売買相場(以下57の3-7までにおいて「為替相場」という。)も使用することができる。
(1) 取引日の属する月若しくは週の前月若しくは前週の末日又は当月若しくは当週の初日の電信買相場若しくは電信売相場又はこれらの日における電信売買相場の仲値
(2) 取引日の属する月の前月又は前週の平均相場のように1月以内の一定の期間における電信売買相場の仲値、電信買相場又は電信売相場の平均値
3 円換算に係る当該日(為替相場の算出の基礎とする日をいう。以下この(注)3において同じ。)の為替相場については、次に掲げる場合には、それぞれ次によるものとする。以下57の3-7までにおいて同じ。
(1) 当該日に為替相場がない場合には、同日前の最も近い日の為替相場による。
(2) 当該日に為替相場が2以上ある場合には、その当該日の最終の相場(当該日が取引日である場合には、取引発生時の相場)による。ただし、取引日の相場については、取引日の最終の相場によっているときもこれを認める。
4 本邦通貨により外国通貨を購入し直ちに資産を取得し若しくは発生させる場合の当該資産、又は外国通貨による借入金に係る当該外国通貨を直ちに売却して本邦通貨を受け入れる場合の当該借入金については、現にその支出し、又は受け入れた本邦通貨の額をその円換算額とすることができる。
5 いわゆる外貨建て円払いの取引は、当該取引の円換算額を外貨建取引の円換算の例に準じて見積もるものとする。この場合、その見積額と当該取引に係る債権債務の実際の決済額との間に差額が生じたときは、その差額は当該債権債務の決済をした日の属する年分の各種所得の金額の計算上総収入金額又は必要経費に算入する。

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交際費等の範囲と定額控除限度額

 [平成21年6月26日現在法令等]
  交際費等とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為(以下「接待等」といいます。)のために支出する費用をいいます。
  ただし、次に掲げる費用は交際費等から除かれます。
1   専ら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行等のために通常要する費用
2   飲食その他これに類する行為(以下「飲食等」といいます。)のために要する費用(専らその法人の役員若しくは従業員又はこれらの親族に対する接待等のために支出するものを除きます。)であって、その支出する金額を飲食等に参加した者の数で割って計算した金額が5,000円以下である費用
  なお、この規定は次の事項を記載した書類を保存している場合に限り適用されます。
(1)  飲食等の年月日
(2)  飲食等に参加した得意先、仕入先その他事業に関係のある者等の氏名又は名称及びその関係
(3)  飲食等に参加した者の数
(4)  その費用の金額並びに飲食店等の名称及び所在地(店舗がない等の理由で名称又は所在地が明らかでないときは、領収書等に記載された支払先の名称、住所等)
(5)  その他参考となるべき事項
3   その他の費用
(1)  カレンダー、手帳、扇子、うちわ、手ぬぐいその他のこれらに類する物品を贈与するために通常要する費用
(2)  会議に関連して、茶菓、弁当その他これらに類する飲食物を供与するために通常要する費用
(3)  新聞、雑誌等の出版物又は放送番組を編集するために行われる座談会その他記事の収集のために、又は放送のための取材に通常要する費用
(注1) 上記2の費用を交際費等の範囲から除く規定は、平成18年4月1日以後に開始する事業年度における飲食等のために要する費用が対象となります。
(注2) 上記2の費用の金額基準である5,000円の判定は、法人の適用している税抜経理方式又は税込経理方式により算定した価額により行います。
 なお、資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人に係る交際費課税について、平成21年4月1日以後に終了する事業年度から、定額控除限度額(注3)を年400万円から年600万円に引き上げることとされました。
(注3) 定額控除限度額に達するまでの交際費等の額の90%を損金算入することができます。
(措法61の4、平元.3直法2-1、措令37の5、措規21の18の4、平18改正措法附則102)

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青色申告特別控除

 No.2072 青色申告特別控除
[平成21年4月1日現在法令等]
 青色申告者に対しては種々の特典がありますが、その一つに所得金額から最高65万円又は10万円を控除するという青色申告特別控除があります。
1 65万円の青色申告特別控除
 この65万円の控除が受けられるための要件は、次のようになっています。
イ 不動産所得又は事業所得を生ずべき事業を営んでいること。
ロ これらの所得に係る取引を正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)により記帳していること。
ハ ロの記帳に基づいて作成した貸借対照表を損益計算書とともに確定申告書に添付し、その適用を受ける金額を記載して、確定申告期限内に提出すること。
(注)
1 現金主義によることを選択している人は、65万円の青色申告特別控除を受けることはできません。
2 不動産所得の金額又は事業所得の金額の合計額が65万円より少ない場合には、その合計額が限度になります。ただし、この合計額とは損益通算前の黒字の所得金額の合計額をいいますので、いずれかの所得に損失が生じている場合には、その損失をないものとして合計額を計算します。
3 不動産所得の金額、事業所得の金額の順に控除します。
2 10万円の青色申告特別控除
 この控除は、1の要件に該当しない青色申告者が受けられます。
(注)
1 不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の合計額が10万円より少ない場合には、その金額が限度になります。ただし、この合計額とは損益通算前の黒字の所得金額の合計額をいいますので、いずれかの所得に損失が生じている場合には、その損失をないものとして合計額を計算します。
2 不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額の順に控除します。
(措法25の2、措通25の2-1)

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4

 本日は平成22年4月4日。2の倍数だらけだが、私は「4」に着目したい。
 日本では、一般的には、「4」という数字は「シ(死)」とも読むので、縁起が悪いとされている。しかし、私にとって「4」とは、縁起の良い数字なのである。例えば、公認会計士試験を4回目でパスした。大手監査法人では、監査業務を4年、FAS業務を4年、と、4年で変化が訪れている。プライベートでも、4年で変化することが多い。「石の上にも3年」と言うが、私の場合は「4年」である。人よりも物事の習得期間が1年遅いのかもしれない。
 成長曲線というものがある。X軸を時間の経過、Y軸を成長度合いとすると、しばらくの間は、時間の経過にかかわらず、成長度合いは横ばいで推移する。しかし、成長度合いが乗数的に、飛躍的に伸びる「その時」が来るものだ。継続していることが前提だが。
 良い意味でも悪い意味でも「あきらめ」が悪い私は、時には「さっさとあきらめて、ばっさり切り捨てる」こともあるが、基本的にはあきらめない。そういうわけで、ある人は3回または3年で結果を出すかあきらめるところ、私の場合は4回または4年まで引っ張るのだろう。

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父親

 ここ2年くらいは、両親と話をする機会がめっぽう多くなった。それまでは、両親と話をすると言ったら、たまに実家に帰省した時くらいであり、特に話をする必要性を感じていなかったというのが正直なところである。特に、父親と対面して、サシで話をすることなど、これまでに何回あったことだろうか。おそらく5本の指に入るくらいだろう。
 そのような状況だったものの、最近は、父親が仕事で度々上京するものだから、父親と対面して話をする機会が多くなった。本日は、大塚の「こなから」という店で、酒を飲みながら話をしていた。日本酒の2杯目からだろうか、父親も気分が良くなってきたのであろう、饒舌になってきた。ところが、父親の話は、単なる昔話ではなく、幼い頃の心情の吐露であった。自分のことに関しては寡黙であった父親が、これまでに自分自身のことを、聞いてもいないのに話をすることはまずなかった。いや、こちらから聞いたとしても話すことはなかった。その父親が、自分の心の内を話し始めたのである。どのような幼少期を送ったか、どのような経緯で母親と結婚をしたか、どのようなつもりで仕事をしてきたのか。 私は、父親が生きているうちに話を聞けて、嬉しく思っている。
 やはり、人間は、「プラス+マイナス=ゼロ(ちょっとのプラス?)」と相場が決まっている。世の中には、程度の差こそあれ、また、意識的にも無意識的にも、親との間にわだかまりがあることが多いかもしれない。それは親に対する「思い込み」であったり「コンプレックス」であったり「蔑み」であったり。しかし、親は馬鹿ではない。だてに数十年を生きてきていない(中には何十年たっても「学び」のない方もいるが)。このブログを読んでいる方の中には、親に対して何らかのわだかまりがあり、親を遠ざけている方がいるかもしれない。しかし、その「親を遠ざける」ことによって得られる(一見して)「平穏」という「プラス」には、例えば、親が亡くなり「親と分かりあうことをしなかったことの後悔」という「マイナス」が伴うかもしれない。一方、勇気をもって「親と分かりあう努力をした」という(束の間の)「マイナス」には、その後の親との関係が良好になるという(持続的な)「プラス」が待っているかもしれない。いずれにせよ、人間の人生は「フェア」にできていると思う。

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癒し

 「癒し」というと、商業的意図も絡んで、温泉、エステ、アロマ、懐石料理等々、何か特別な手段によるところが世の中には散見されるが、果たしてどうだろうか。「癒し」とはそのような何か特別な手段を借りないと得られないものなのだろうか。観点を変えると、日常生活の中で得られる「癒し」とはどういうものなのだろうか。
 私にとっての「癒し」の一つは、実は、「温泉」である。ただ、温泉に求める物は、主に身体的癒しであり、また、温泉は遠隔地にあるゆえ、日常生活の中で得られるものではない。私にとっての「癒し」は、「某ガレージ(左写真)」である。
 私は幼いころから自動車が大好きであった。父親が若い頃、2輪・4輪のアマチュア・レーサーであり、また、常に自動車に触れる仕事をしていたことの影響を受け、物心ついた時から自動車が大好きであった。幼稚園児の頃、トンネル内で自動車のバックライトを見ただけで車名を言い当てたくらい、そのくらい好きだった。理由は分からない。ただ、音・デザイン・におい・自動車を扱う場所の雰囲気すべてが、私にとっては心地よいのである。
 したがって、「某ガレージ」に行くと、心が癒される。そこには、常にお客さんが戯れ、自動車談義、人生談義に花が咲く。時には人生相談にも乗ってくれる。(愛情を込めて)不良のおじさん達がメインであり、私などまだまだ若造で、いじられまくりだが、それも心地よい。某ガレージ代表のS氏(写真右)は、私のクライアントでもあるのだが、「Z」が付く前のフェアレディのスペシャリストである。S氏には、フェアレディでも人生でもお世話になっている。仕事を通じて毎日を立派に生きているS氏には、いつも勉強させてもらっている。
 結局のところ、真の「癒し」とは、自分の心の持ちようであると思う。何でもいいから、自分の心が和むような事・場所を見つけられれば良いのだと思う。

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