芸術的経営者を追求する、江幡公認会計士税理士事務所の心のブログ

月: 2010年3月

指摘

 言葉で表現することは、時として非常に難しいことであるが、今回は、「指摘」という言葉で表現したい。「指摘」とは、「大切な点や注意すべきこと、欠点や過失などを具体的に取り上げて指し示すこと。」とする辞書がある。「叱責」という言葉もあり、「叱責」とは「失策や怠慢などを叱りとがめること。」とする辞書があるが、個人的には、「叱責」はネガティブなイメージがあり、好きではない。
 今週は、他にも仕事が山積している中で、納期までの時間が短く、(ある意味)難易度の高い仕事に従事していた。ただ、会計専門家にとっては、普通にやればできる仕事である。私は、第一義的には、ベトナム人のアカウンティング・マネジャーのHさんに任せた。Hさんは、「OK. Only one day.(1日で終わるよ。)」と言う。確かに、Hさんならできるだろう、そう思った。ところが、蓋を開けてみると、どうもおかしい。ボロがボロボロ出てくる。私は本日帰国するのだが、この期に及んでボロが出てきた。Hさんの作業の後に2日間程度で終わると想定していたのだが。さすがに、普段はいい顔をしていた私も、今日はHさんに「指摘」した。「この会社にこの取引がないわけがないでしょう。あなたは何をチェックしてたのか。」と。普段は、いちいち「言い訳」をしてくるHさんも、今日はしおらしくしていたのが印象的だったが、結局のところ、Hさんの実力にしては、仕事の質が低かったのである。
 Hさんは会計歴16年のベテランだ。Hさんなら、もっと質の高い仕事ができたはずだと心底思えたから、今日は「指摘」した。そうしたら、Hさんをいたずらに傷つけることなく、結果としては成果を出せた。時には「指摘」も必要なのだなと、心底思えた。「指摘」は「感情の垂れ流し」ではない。「正論」と「事実」がしっかりと噛み合っている時の「指摘」は非常に有効である、そう思えた。ただ、「正論」が分からない相手には「指摘」は無効かもしれない。そのような相手には、「指摘」ではなく、「(単なる)叱責」と映るかもしれない。
 外国で働くということは、ある意味、「鉄下駄」を履いて仕事をするような感じかもしれない。人間として勉強になることが多い。

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ブランドと実力

 実力があるから売れるのか、売れるから実力があるということなのか。ブランドがあるから売れるのか、ブランドがないと売れないのか。どんな業界・業種であれ、ビジネスをやっていく上で、誰しも悩むことであろう。特に、ビジネスという「商業化」ベースで考えた場合、世の中では、「いかにブランディングし、商業ベースに乗せるかが重要である。」といったことを思わせる事例が散見される。ある意味、その点は重要であり、自分自身も、例えば、野菜を買う場合、日本産を選ぶのが通常である。これもひとえに、日本人の先輩方が築き上げてきたブランドの賜物である。
 さて、身近な話をすると、これも世の中で散見されることだが、「口コミ等により結果として長蛇の行列ができるラーメン屋」と「雑誌等のメディアを利用し集客するラーメン屋」はどうだろうか。私は、「口コミ等により結果として長蛇の行列ができるラーメン屋」が好きだ。しかも、僻地にあればあるほど興味をそそり、うまかった時の感激はひとしおである。一方、「雑誌等のメディアを利用し集客するラーメン屋」の場合、期待はずれだった時のショックは大きい。なぜなら、ラーメンはカロリーが高いため、代謝の落ちてきている私にとっては、いかにうまいラーメンを食べ満足するかが重要だからだ。おそらく、いかにメディアを利用して集客しても、うまくなければいずれビジネスは成り立たなくなるだろう。一方、うまいラーメンを作り続けたからこそ、客が客を呼び、結果として繁盛するのだろう。つまりここで言いたいのは、「実力が結果を生む」ということであり、ビジネスに関して言えば、「真剣に仕事をした結果儲かる」ということである。
 しかしながら、一方で、いくら良いものでも、人々に「認知」されないとどうしようもない。例えば、いかにうまいラーメンを作れるとしても、誰も知らないような僻地にあり、客が全然来ないというのでは、商売が成り立たない。一方、誰も知らないような僻地であっても、例えば、有名人が出店した場合には、うまいかどうかは別にして、客が来るだろう。
 このように、「実力があるから売れるのか、売れるから実力があるということなのか。ブランドがあるから売れるのか、ブランドがないと売れないのか。」ということは、非常に難しい問題である。あまりお化粧しすぎるとそれは粉飾だし、あまりにもみすぼらしいと人の興味をひかない。ただ、やっぱりこういう結論になってしまうのだが、「今ある仕事を、1つ1つ、真剣に、地道にやる。」しかない。それと同時に、「世の中に自分自身を認知して頂く作業」も「ある程度」はする。現時点では、そのように考えて仕事をしている。結果がどう出ているか、どのように結果を出していくか、折を見て振り返ってみることも忘れてはならない。

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