2010年4月9日
ベトナムの監査法人
日系企業がベトナムに進出する場合、必ず監査法人と契約を締結することになる。なぜなら、「DECREE No. 105/2004/ND-CP OF MARCH 30, 2004 ON INDEPENDENT AUDIT」の以下の規定の通り、外資企業は会計監査が義務付けられているからである。
Article 10.- Compulsory audit
1. Annual financial statements of the following enterprises and organizations must be audited by auditing enterprises:
a/ Foreign-invested enterprises;
b/ Organizations engaged in credit and/or banking activities and the Development Assistance Fund;
c/ Financial institutions and insurance business enterprises;
d/ Particularly for joint-stock companies and limited liability companies which participate in listing and trading on the securities market, the audit shall be conducted according to the law provisions on securities trading; if they borrow capital from banks, the audit shall be conducted according to the law provisions on credit.
それでは、ベトナムにはどのような監査法人があるのか。大きくは以下の3つに分類できる。
①BIG4(Deloitte、KPMG、EY、PwC)
②ベトナム現地の中小監査法人(日本人会計士の関与あり)
③ベトナム現地の中小監査法人(日本人会計士の関与なし)
日系企業に対するサービスを前提とする場合、我々専門家においては、まず、品質面については、「③<②≦①」と考えられている。①と②の比較が問題となるが、一概には言えない。なぜなら、ベトナムのBIG4の経営戦略において、日系企業自体、または、個々の日系企業クライアントの位置付けにより、投入する経営資源が決まってくるからである。②の方が、小回りが利き、きめ細やかなサービスが受けられる可能性が高い。③については、未知数(やってみないとわからない)である。
次に、コスト面では、間違いなく「③<②<①」である。BIG4にはブランドがあり、多額の間接費が発生しているので、当然の結果である。③については、そもそもの物価水準と品質が反映されていると言えよう。②については、日本人が日系企業クライアントとベトナムローカル監査法人との間に入り、コーディネーターの機能を発揮する分、コストが上昇する。
結局のところ、日本親会社が上場企業等であり、経営者の受託責任が大きく、それなりに監査コストをかけられる・かけなければならない企業は①、監査コストをかけられないが、ベトナム語・英語ができるなら③でもやっていけるかもしれない。②は①と③の間に位置する。②の特徴は、日本の公認会計士が日本語で対応する点である。日本の公認会計士ゆえ、日本本国の会計・監査事情を踏まえて対応する。しかしながら、ベトナムにおいて、質実ともに②の監査法人がいかほどあるのか、私が知っている限りでは、あの1社のみのような気がする。
いずれにせよ、①・②・③のどれを選ぶかは、あくまで、経営判断である。