芸術的経営者を追求する、江幡公認会計士税理士事務所の心のブログ

月別: 2010年5月

「カントの人間学 」(講談社現代新書)を読んで

 ハーバード大学におけるカント哲学に関する講義のテレビ番組をたまたま観たことがきっかけで、カント哲学に興味を持った。どのような点に興味を持ったかというと、「道徳」に関する考察だ。例えば簡単に言うと、「修道院で修業し、禁欲的な生活をしていることは道徳的ではない。」という。つまり、「修道院の人たちはあらゆる俗世の誘惑を物理的に遮断し、その遮断されたところに身を置いているからこそ誘惑に乗らないだけであって、それは、俗世に実際に身を置いて、何らかの「義務」に基づき、誘惑に乗らないことを選択・実行しているのとは訳が違う。」というのである。換言すれば、その時々の感情に左右されず、何らかの「義務」に基づいて行動することこそ「道徳的」だというのである。「こいつは凄い。」と思った。
 早速、カント哲学に関する本を読んでみようと思い、Amazonで調べてみたところ、「純粋理性批判」、「実践理性批判」、「判断力批判」などの著書が登場した。ところが、カスタマーレヴューをいくつか読んでみたところ、面白い記事があった。その記事は、カントの著書を読むとしても、カントがどのような人物かを知った上で読んだ方がよく、それにはまず、「カントの人間学 」(講談社現代新書)を読むのがよい、ということであった。
 本日読み終えた。電車の中だけで読んでいたので数日かかったが、面白い内容であった。まだカントの著書自体を読んでいないためあまり偉そうなことは言えないが、「人間は皆同じだ。」という気付きがあった。たしかに、カントの「道徳」に関する洞察は凄い。観念的で薄っぺらい精神論とは違って、行動が伴うことが要求される厳しさがあり、現実的であり、とにかく、洞察が鋭い。しかしながら一方で、カントは、「自分の世界」が最も大事であって、友人や女性を必要としなかったが、赤ちゃんの時と死ぬ時は、女性の愛情に包まれていたという。赤ちゃんの時に彼を包んでいたのは母親、死ぬ時に彼を包んでいたのは妹とのことであるが、それらの時、カントはとても幸せなひと時を過ごしていたという。
 さて、「人間は皆同じだ。」という気付きとは、つまり、どんな哲学者だろうが、どんな芸術家だろうが、どんな偉い経営者だろうが、「人」だということである。対外的には仮面をかぶる必要があり、また、その仮面はその人の重要な側面ではあるが、忘れてはならないのは、「人」だということである。つまり、喜怒哀楽があり、プライドがあり、お腹もすくし、時には「ほっ」としたくなる。幼少期・青年期の経験や家庭環境などが複雑だったりすると人格に少なからぬ負の影響を及ぼす代わりに、素晴らしい芸術作品や本を世に残したりする。どれも、「人」のなす技なのである。
 生きていると、大変なことだらけだ。例えば、常々「A」という「許せない」ことがあり、思い出せば悶々とする状況なのに、それにさらに追い打ちをかけるように「B」という痛い状況が起きたとする。その時は「やってられない。」と絶望するだろう。しかし、その後、「B」だけが気になることとして残り、「A」はどうでもよくなったりする。よく鍼の先生が言っていた。「いっぺんに体の複数の箇所が痛くならないんだよ。」と。
 「人」は皆同じだと思うことにするのがよいと思う。芸術家が芸術家たる理由が必ずある。平凡過ぎてつまらないと思う人がいれば、それはそれで良しとしよう。平凡だということは、とりたてて痛い出来事も起こっていないということだ。結局、「リスク(振れ幅)」の問題である。ある一つの問題に拘泥するのはよくない。「そんなことを言ったって、お前に私の気持ちがわかるか。」と言いたくなる気持ちも分かる。しかし、問題が生じた時、人は、深く悩むこともできるし、初めだけちょっと悩んでその後は悩まないこともできる。すべて自分の気持ち次第である。
 先ほど観たテレビ番組で、秋元康さんが言っていた。「両親とたくさん話をしなさい、たくさん過ごしなさい。両親が最大のアドバイザーだ。」と。それを受けて、このBLOGとつなげると、「両親こそ、自分にとっての最大の哲学者かもしれない。」ということだ。もちろん、今後とも、カントの著書等、本は読んでたくさん勉強していこうと思うが、勉強する目的は人生を豊かにするためだ。そして、人生とは、現実社会を生きることに他ならない。決して、前世・来世のために生きているのではない。世の中がどんなに荒んでいようが、今現在の自分の状況がどんなにつらかろうが、今ここにある「現実」を生きるしかない。つらい出来事が起こった時、それを世の中のせいにしたり、自分を顧みず他人のせいにしたり、さらにはスピリチュアルな世界に逃げる人がいるが、本末転倒である。事の発端は「人」、他ならぬ「自分」だと思った方がよい。そして、いつまでもくよくよせず、次に活かして前に進むのがよい。
 長くなったが、このように、本、テレビ番組、インターネット等々どれをとっても、勉強になることばかりだ。人生は面白い。人生は捨てたものではない。

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