2010年11月21日
幸福論④
いつも考えてばかりだと疲れてしまうが、やはり、「幸福」については、折を見て考える必要がある。そう考えたきっかけは2つ、今日の出来事だ。
1つ目は、銀座での出来事。今日は久々に買い物をする日と決め、買い物リストを基に、午前中から買い物をした。最近は以前のように物欲で何かを満たすことはなく、つまり、物欲を満たすことでは幸福は得られないことに気付いたので、必要なものしか買わない。なので、銀座で買い物をすること自体が久々だ。私にとって銀座といえば、テイジンメンズショップ。社会人になって以来、服は大体テイジンで購入しており、そこの名物店長I氏には、服のことのみならず、時には男の生き方のようなものを教わっている。I氏は銀座で数十年、様々な男性を見てきている。服のアドバイスとフィッティングは的確で、私がどのようなものが好きかを熟知している。また、社会人になって以来の私の生き方を見てきている。そんなI氏に会うのは半年ぶり位なのだが、私の今年最大ともいえる出来事を、ちょっと余計なことも言いつつ報告したところ、「『幸福な生き方とは何か』を追求しなさい。」とのことであった。I氏とここまで距離が縮まっていたのかと多少嬉しかったし、もう義理(『たまには顔を出さなきゃな。』と思い込んでいた。)のような感情を持つ必要がないことを感じて楽になった。これまでにもう散々ファッションには金をつぎ込んできたので、もういいんじゃないの、ということだ。もう「実質」のみを追求する時が来たのだ。あと、仕事の面で、「仕事は順調なの?」と聞かれたので、「いや~、まだまだ理想には程遠いです。」と月並みの回答をしたのだが、「そんな、その歳で理想の形になるなんて無理だよ。逆に理想の形になっていたら、気味が悪いよね。」とのこと。ははぁ~っ、仰る通り。
2つ目は、NHKスペシャル。ヒマラヤのチベットの天空の集落で暮らす人々は、生活必需品を買うために、標高4,600m以上の山々を行き来するのだが、行き来する道は絶壁を崩して細い道にしただけの道であり、人と馬がやっと通れるほどのものだ。ちなみに、馬を使うようになったのは7年前とのこと。これまでに数え切れない人と馬が亡くなったそうである。主人公は妻のために洗濯機を街で買って集落まで運ぶ男性なのだが、インタヴューに対し、「一生この運搬を続けたい。塩とお茶さえあれば生きていけるし、馬が4頭いるので、私にはこれ以上望むものはない。」とのことであった。清らかな目で真剣に語っていたのが印象的であった。僭越ながら、最近は、人の目を見ればおよその人となりが分かるようになってきた。「『自然に』清らかな目」をしている人は、自分自身を知り、自分の幸福を探し当てた人だと思う。
ネガティブな感情が湧きおこり、「今、自分は幸福ではない。」と感じる時、人は既にある幸福を忘れ、言い訳をし、人のせいにする。すべては自分に原因があり、責任があるのに、人に求める。物に求める。さらなる要求をする。きりのない要求をする。そんな時こそ、「今ある幸福」を再認識し、感謝するのが一番だ。「感謝、感謝」などと口先ばかりの感謝など必要ない。何か問題が生じ、今ある幸福を再認識した時に感謝できれば、それでよい。