芸術的経営者を追求する、江幡公認会計士税理士事務所の心のブログ

カテゴリー: 仕事

ときわ荘

 今となっては10日近く前の事になるが、事務所の配置換えを行った。不要になったかなり大きめの本棚を1つ潰したりしたので、結構な肉体労働になった。夏の暑い盛りである。疲れた体は何かを欲している。その日はさっさと仕事に見切りをつけ、17:00から渋谷の東急本店の屋上のビアガーデンで、皆で1日の労を労うことにした。
 日中はかなり暑かったものの、夕方になると多少涼しくなった。特に百貨店の屋上は天井がなく風が抜けるので、気持ちの良いものであった。(おそらく)SIDAXが経営しているだけあってメニューや値段もリーズナブルで、なかなかのビアガーデンだった。肉体労働の後のBeerは、私はもちろんのこと、皆さんもさぞかしおいかったことだろう。一方、疲れた体で頂くBeerは殊のほかまわりが早い。
 「家族」を「共有してきた時間」「共有した記録」と定義する方がいる。個人的には、実にわかりやすい、現実的な定義だと思う。この点、会計士が事務所を共有するのも、ある意味、家族のようなものだ。それぞれ独立してやっており、事務所スペースと一定のルールを共有しているというのが基本だが、もう少しウェットに考えれば、時間と折々の記録を共有していると言える。ある意味、「ときわ荘」のようなものだ。
 彼らの存在に感謝し、これからも彼らを大切な存在として考えていきたいと思う。

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租税法

 東京税理士会の「登録時研修」というものがある。税理士登録時に受講するものだが、この度ようやく受講するタイミングを得た。弁護士の先生による租税法のそもそも論が大変ためになった。備忘を兼ねてキーワードを記載しておく。その言葉自体は初耳のものはないが、実務に活かしているか否かが重要だ。
✔憲法14条・30条・84条
✔租税法律主義
✔租税公平主義
✔リーガルマインド(訴訟(=裁判官の思考回路)を意識した実務)
✔租税法・法解釈(判例・学説)
✔課税要件
✔事実認定
✔あてはめ
✔税務調査(=質問検査権)には手続法がない→必要性・納税者の同意
 私見だが、無試験で登録した公認会計士は、税法自体の暗記・手続的なことはあまりやっていないのでそれらの点では勝負せず、上記のようなそもそも論こそを勉強した方がよいと思われる。また、会計士には理系の頭も必要だと言う意見について、それはそれで理解できるが、上記のようなリーガルマインド等を含め、まずは文系をしっかり勉強する必要があると思われる。

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困難が好き

 例によって、本日はいつもの一人美容室Kへ行って髪を切った。美容室での会話というと、通常は、申し訳ないがうわべの会話となるが、一人美容室Kではうわべの会話はしない。時には険悪な空気が流れ、空気がぴんと張るくらい、意見をぶつけ合うことがある。なにせ、美容師K氏は独立して20年以上、筋金入りの元●●●●だ。
 結論から言うと、本日は元気を頂いた。ここ3日間は「漠然とした将来への不安」みたいなものを感じちゃっていたのだが、あくまで「漠然とした」ものであり、むしろたちが悪く、気分が冴えなかった。ところが、本日の会話で、プライベートのこと、仕事のことで、最近まとまりがなかった想いが整理されたのだ。彼は言う。「困難が好きだ。」と。「困難な状況で自分の真価が問われる。」と。困難にぶち当たった時、彼は、「この仕事辞めたいかい?宅配便のバイトをやるか?サラリーマンになるか?」と自分に問いかけ、気持ちを新たにするのだそうだ。さらに、「この状態(=独立)は、誰にも出来ねえよ。俺は困難が好きだ。やれるなら(いまやっていない他の奴らも)やってみろ。」と。善い悪い、誰が正しい正しくないの話ではなく、「自分の信念を貫けるか」にかかっている。
 また、チャンスが到来した時にそのチャンスをものにできるよう、常に自分を磨き続けることの重要性を再認識した。つまり、チャンスが到来した時に、チャンスをものにできる「状態」を維持するということだ。健康、経済力、仕事の能力等々枚挙に暇はないが、要は、普段から自分を高めるということだ。
 「人と会うこと」は、心の栄養になることが多い。「人間力」とは、「人の間の力」とO氏は言う。「人」は面白い。

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ジタバタしなくてよかった...煽るのはもっとよくない...

製造業界の不満爆発で大逆転
IFRSの強制適用を先送り
(「週刊ダイヤモンド」編集部 池田光史様)
 自見金融相は6月21日、2014年度からのIFRS強制適用を見送ると正式に発表した
 「2014年度からの強制適用はしません」
 日本ではもはや“既定路線”と見られていたIFRS(国際会計基準)の強制適用が見送られ、大きな波紋を呼んでいる。6月初旬、来日していたIFRSの総本山、IASB(国際会計基準審議会)のデービッド・トゥイーディー議長に対し、自見庄三郎金融相がそう断言したというのだ。
 あわてたのは金融庁の幹部たち。それもそのはずで、すでに09年6月に公表した企業会計審議会中間報告において強制適用の可能性を盛り込んでいたし、実際には今年度中に判断、3年間の準備期間を経た14年度から強制適用するつもりで動いてきたからだ。
 形勢が逆転した最大の要因は、米国のスタンスが一転したことだ。08年には、米国も14年からIFRSを段階適用していくことを打ち出していたが、今年2月には適用開始時期を1年延長、5月には米国会計基準も残す案を示し、「明らかにIFRS適用から後退した」(大手監査法人幹部)からだ。
 これを足がかりに勢いづいたのが、強制適用に反対する製造業を中心とした産業界。反対派の急先鋒と見なされている佐藤行弘・三菱電機常任顧問がまとめ、金融相や経済産業相らに提出した要望書には、新日本製鐵やトヨタ自動車、キヤノンといった大手製造業の名がズラリと並ぶ。
 さらには日本経済団体連合会企業会計部会長でIFRS推進派の島崎憲明・住友商事顧問がそのポストからはずれたことも「反対派に追い風となった」(関係者)。
 加えて、「国民新党の自見さんは、時価会計のIFRSを小泉・竹中路線の一環だと思っているフシがある」(政府筋)。こうした政治的な思惑も重なり、震災の影響を口実に突如、“反IFRS”に舵を切ったというわけだ。
 確かに産業界からは、かねて金融庁の強引なやり方に対する不満の声が上がってはいた。IASBの理事ポストを1席得ていた金融庁は、「なんとしてもポストを死守するために強制適用を実現したかった」(金融庁関係者)。
 前出の佐藤氏も、「米国でもどの項目を近づけるか見直しが進むなか、日本ではまだ議論が十分なされたとはいえず、14年度からの強制適用など間に合うはずがない」と強調する。
 金融庁は月内にも企業会計審議会を開催、IFRSを強制適用する場合でも5~7年の移行期間を設ける方針。だが見誤ってはならないのは、IFRSをめぐる欧米の駆け引きだ。仮に米国がIFRS適用を見送っても、米国基準がIFRSと同様“世界基準”に位置づけられるのは間違いない。
 だが、日本は違う。市場は日本基準のまま開示する企業を“二軍”と見なす可能性が高く、引き続き欧米の動きを注視することが求められる。

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どんどん捨てろ。

 中学生の頃の情報収集手段としてお世話になった「Hot-Dog PRESS」。主にファッションに関する情報を仕入れていたのだが、一方で、北方謙三さんの「青春相談 試みの地平線」も楽しませて頂いた。とにかく、相談してくる悩みと、その悩みに対するアドバイスがしびれるのだ。時には、そのアドバイスを受けた相談者はさらに悩んでしまうのではないだろうか、と思われるようなアドバイスもあったものだ。
 さて、以前からやろうと思っていたことを、BOOK OFFさんの力も借りて本日遂行した。北方謙三さんから「どんどん捨てろ。」とのお告げがあったかのように。本はどんどん陳腐化する。特に専門書はしかり。ずっと持っていても意味がない。辞書的に使える本やバイブル的な位置付けの本なら持っている価値はあるだろうが、それ以外のものはさっさと処分してしまった方が良い。大体、本を買う時は、絶対に必要だからその本を買うことよりも、興味本位で買う事の方が多い。だとしたら、興味心を満たしたならば、エッセンスをノートにメモするなどした後に、その本を処分するのが良いだろう。
 自分の場合、本購入の出費は惜しまないのだが、それにしても、財布の紐が緩すぎたことを反省している。「もっと自分の頭で考えないと。」と感じている。本以外のモノに関してもしかりだった。必要なもの、使用頻度の高い物は、もう決まっている。自分の趣向は十分知りつくしている。体の肉もモノもリストラが必要であり、これからどんどんリストラをしていくつもりだ。

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30%以上の共感があればよい。

 ある程度長い期間人と付き合っていると、その人の良いも悪いも見えてくるものだ。出会った当初はお互いに緊張し、気を遣い、一定の距離を保とうとする。ところが、時の経過に伴い、いい意味でも悪い意味でも、「慣れて」しまうのだ。「慣れ」は、時として「甘え」に繋がる。「甘え」が絶対に悪いとは言わない。時として甘えられるのもいいものだし、自分だってどれだけ人に甘えてきたか。ただ、「甘え」が度を超すと、人間関係がぎこちなくなってくる。ぎこちなくなって耐えられなくなった人間関係は、いずれ終わるし、終わりにすればよい。
 この点、最近の気付きは、「商売」が絡んでくるとそうはいかない、というか、そう悪くもないということだ。商売上もプライベート上も長年付き合っていると、お互いに、自分の状態によって「甘え」が見え隠れするものだが、ある一時ぎこちなくなったとしても、修復されることが多い。これは、お互いに、商売上の微妙な計算をしているからに他ならない。ただ、それは決してドライなものではなく、自分のしでかしたことに自ら気付き、反省し、修復することを「選択」したということだ。
 これまでの記事で、善い悪いの二元論で物事を判断することの危険性について述べてきたが、人間力に関する師匠O氏によれば、「人間関係において、30%の共通点・共感があれば、よしとしようではないか。」ということだ。その通りだと思う。それ以上を求めるのは人に期待しすぎであり、ろくなことにならない。独立すると、この辺のことが非常に勉強になる。

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人と仕事をするということ

 独立前は営業などしたことがなく、ひたすら実務の遂行だった。その後独立し、なんと、ベトナムという異国の地で営業をすることになった。思えば、この異国の地での経験が今の自分には大きい。そりゃあ、営業をしてすぐ仕事に繋がれば嬉しいが、そういうケースはごく稀だ。
 そんなことよりも、「営業」を単なる受注ルート開拓と考えない方が良いように思える。私なりに考えているのは、「営業」は、「人と会って話をすることにより、その時間と情報を共有し、結果として仕事があれば、嬉しさはひとしお。」ということを経験することだ。大学生の時、就職活動中の先輩の女性が、「就職活動は楽しい。」と仰っていたのが印象的だ。その先輩は結果的に超優良企業に就職した。その先輩の就職活動に対するそのようなスタンスが良い結果を生んだのではないだろうか。一方、「ナイト・セールスで~す!」などと言って夜にマンションなどの営業をしてくる営業マンが世の中にはいる。どこかで名簿を手に入れ、数で勝負しようとしている方々だろう。悲しくなる。
 さて、嬉しいことに、久々に以前いた会社の上司とお会いしたのだが、まず嬉しいのは、辞めていった者に対しt、お忙しい中時間を割き、会って話をしてくれたということだ。会ってくれた理由は本人にしか分からないが、以前一定期間一緒に仕事をしていたことが理由であることは否定できないだろう。1時間半も話をさせて頂いたが、なんとも嬉しい限りである。今日のこの出来事ひとつとってみても、「仕事」とは、非常に奥の深いものである。

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覚悟と行動

 ここ2ヶ月ほど、遠洋漁業のようなスタイルの仕事をしていたため、生活スタイルも画一化し、思考が停止していた。Blogを書く時間自体はあったのだが、どうもBlogを書く気分にならなかった。思考停止で「思うところ」がないのだから、やむを得ないと言えばやむを得ない。ようやくほぼリリースとなったが、気が付けば暑い夏となっている。今週は、午前中は客先にいることが多いのだが、移動だけでも体力が消耗するくらい暑い。例年の6月はこんなに暑かっただろうか。電力の需給が気になるところだ。
 思考停止していたと言っても、潜在的には思考していた。2ヶ月の遠洋漁業の生活スタイルとはいえ、そんな生活の中でも様々なことが起こった。つくづく実感したのは、公認会計士を取り巻く外部環境の変化の速さだ。10年くらい会計士をやっているが、新人の時はもっと牧歌的で変化のスピードは今よりも遅かった。ところが、特にここ3年の変化のスピードは尋常ではない。安心して乗っかっていられるものなどない。自然現象に例えれば、それまで何十年も氷河たりえた山の氷河が、気温の上昇により溶けだし、もはや氷河たりえなくなったかのようだ。溶けだした氷河の上にずっと座っていたのでは、氷河がいずれ溶けてクレバスに落っこちてしまう。我々の仕事は、クライアントの状況に左右される。平たく言えば、クライアントが儲かっていれば我々も潤うが、クライアントが厳しい状況にある場合は、我々も厳しい状況になる。最悪のケースでは、その仕事を失うことにもなる。
 以上から、もはや今後は、外部環境は刻々と変化するのだから、現時点では好調な商売も、またたく間にコモディティ化する。もう時代が違うのである。「北の国から」で大金を失った黒板五郎が言っていた。「すっかり忘れていた大きなものを俺は見つけた。金があれば金で解決する。しかし、金がなければ、知恵だけが頼りだ。知恵とてめえのパワーと。」と。なんとたくましく大きな男だろう。彼の言うことは、まさに現在の状況に当てはまる。今後生きていくためには、常に自分の知恵とパワーを頼りにしながら、自分を磨いていくことでしか対応できない。この覚悟と、具体的な行動ができるか。要は自分との闘いである。この自分との闘いに勝つか負けるかは、要は諦めるか諦めないかだ。これは善い悪いの二元論ではない。どちらでもよい。負けたのなら、負けた自分を受け入れ、「負けた」ということを重々認識の上、新たな道を模索すればよい。ただ、どうせなら勝ちたいものだ。自分との「いい」闘いをするため、心身ともに健康に配慮し、闘っていきたいものだ。
 さて、今日も朝から暑いが、これから客先に出向くこととしよう。

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今後の商売をいかに進めていくか

 3月11日の大震災で、左写真の熊手が落っこちてしまった。俵が取れてしまい泣きそうになったが、何とかもとに位置にくっつけた。この熊手は、神社の教えに従い、元々は、南で人が行き来しない場所である本棚の上に設置していたのだが、最近は国内出張・海外出張が続いたので、また落ちると困るから、しばらくは設置しないでおいた。そして本日、改めて設置し、「二礼二拍手一礼」を行った。
 昨日は例の美容室に行き、美容師と話をしたが、彼の知り合いの飲食店(東京)では、既に大震災の影響が出始めているという。水や食材が手に入りにくくなっているし、客も少なくなっているしで、厳しい状況のようだ。当の美容室については大震災の影響はないとのことであるが、いずれにせよ、日本経済に何らかの変化があることは間違いがなさそうだ。
 となると、我々公認会計士業界にも影響がないわけがない。そして、私にとっても影響がないわけがない。事実、本日開催予定であったセミナーが中止になり(主催者O様へ:事実を記載しただけであり、気にしているわけでない旨ご了承ください)、外国人クライアントは一時的に国外に行ってしまった。今後も何らかの影響があるかもしれない。しかし、私は悲観をしていない。状況が変わったら、状況が変わったなりの活動をすべきであり、どのように活動すべきかは、自分自身が自分の頭で考えるべきだ。
 商売とはそういうものなのではないだろうか。

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豊かさとは何か

 先週は出張で上海に滞在していた。当然のことながら、朝から夕方までは仕事である。3日間と限られた日程の中で一定の成果をあげなければならない。適度の緊張感をもって仕事の方は無事終えることができた。
 仕事後、一度は見てみたかった外灘に行った。上海の象徴のような場所だ。上海万博を契機に歩道等が整備され、景色を眺めながらゆっくりと歩くことができる。写真は川の対岸の浦東だ。外灘にはクラシックな建物が多いのに比べ、対岸の浦東は近代的だ。街には西側諸国にあるようなあらゆる店があり、大都会だ。特に、女性のファション・メイクは、多少微妙だが、悪くない。たまたま知人が上海に帰国していたので現地で会うことができたのだが、そこには現地のその知人の友人も来ており、言葉が通じないながらも、その場の雰囲気を共有することができた。中でも、職業がOLという女性は、モノグラムのバッグを持ち、マント風の素敵なコートを身にまとい、メイクも自然な感じで、まさにOLを謳歌している感じであった。
 さて、以前行き来していたベトナムやその何歩も先を行く中国の街並や人々を見ていて思うのは、「豊かさとは何か」ということだ。私自身、今よりも若い頃は物欲のかたまりであった。特に社会人になってからは、散々欲しい物を買ってはまた違うものが欲しくなる、ということの繰り返しであった。雑誌でおいしい店を見つけては食べに行き、の繰り返しなど。つい最近までこれらのことを否定していたのだが、「否定しても意味がない」ということに今回気付いた。というのも、日本人全体を見ても、昔は「モノ」によりもたらされる豊かさを享受し、それがモチベーションになって、ここまで成長を遂げた。中には「モノからは真の豊かさは得られない。」と達観した人間もいるだろうが、通常は、やはり、「モノから豊かさを得ようとうする過程」をまずは経験しないと、その境地に行けないのではなかろうか。私自身も、散々散在したことがあったから、真の豊かさについて考えるようになった。
 気が付けば、「真の豊かさ」についての考察が甘かったようだ。「モノから得られる豊かさ」を否定する必要はなかったのだ。ここで自惚れていた自分を反省しよう。

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流儀~なるべく愚直~

 私の仕事の流儀は、「なるべく愚直」である。「手を抜く」ことは言語道断、「端折る」や「簡略化する」もなるべくしないようにしている。
 そもそも、「会計」とは、説明責任を果たすためのツールである。個人で商売されている方や小さいながらも会社経営をされている方にとって必ず存在する利害関係者は、「税務当局」である。「税務調査」の際には、「税務当局」に対して、適切に「説明」をする必要がある。そして、適切に説明するためには、会計の検証可能性が高い方がよい。検証可能性が高いというのは、第三者が会計帳簿や原始証憑等を見る際に、「分かりやすい」ということである。税務調査官も人間である。彼らにいかに気持ちよく見てもらうかが、税務調査を効率的に遂行する上で非常に重要である。
 この点、私は、領収書を紙に張ったり、紙に2穴を開けたり、インデックスを付けたり、という基本動作に関しても、納得のいくまでやることにしている。紙の端っこがずれていたり、領収書が見にくかったりするようでは、その先の仕事もおそらく何かあるに違いないと考えている。結局のところ、仕事の出来はその人間の基本動作の延長上にあると考えている。ただ単に「愚直」というのでは融通が利かないが、「なるべく愚直」を心がけていれば、「愚直」から離れることはない。

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インタヴュー①

 いつもお世話になっている美容師と、会計について話をした。美容院を経営する彼にとって最も身近な会計は、税務会計と管理会計だ。彼によれば、初めのうちは税務署に教えてもらいながら、今まで2月下旬までには所得税の確定申告書を提出しているとのことである。そもそも、帳簿を毎日付けており、決算時になんら焦ることはないとのこと。それよりも、毎日のように帳簿を付けていないと、どれだけ儲かっているかという損益状況と、今度採るべき行動が読めないので、そもそも自分にとって会計は必要だとのことであった。
 目から鱗であった。身近に、しかも、白色申告の方で、ここまで会計を理解している人がいるとは。さらに彼は言う。「この時期になって帳簿をつけていないと焦るのは、経営者として失格だ。」「自分でやらない・できないくせに、(税理士などの)専門家には金を払いたくない、というのは、おかしいね。商売やめた方がいいね。」と。
 はっきり言って、彼は自分にかなり厳しい方だと思うが、時には、彼の言ったようなことを自分に対してもお客さまに対しても明確にする必要があるかもしれない。「(お客様が)大変だろうからお手伝いする。」という気持ちも必要だが、それだけでは、長い目で見て、お客さまにとっても良くないということだ。自分で事業をやるということは、そういうことだ。本日もいい勉強をさせてもらった。

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弁護士の確定申告

 白色申告の場合の収支内訳書(弁護士用)は平成22年度から廃止となりました。そもそも、収支内訳書(弁護士用)日本全国の統一様式ではなく、東京局でのみ提出が求められていたものでした。
 ちなみに、青色申告の場合はそもそも収支内訳書は提出しません。貸借対照表と損益計算書を提出すれば足ります。
 なお、老婆心ながら、確定申告書・第二表の「所得の内訳(源泉徴収税額)」欄ではスペースが足りない場合は、別途、「所得の内訳書」を提出する必要がありますので、「所得の内訳書」作成に必要なデータをまとめておく必要があります。とはいえ、そのデータは売上を集計している過程で結果的に整理されますので、特に追加的な作業ではありません。

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【消費税】納税地

1 国内取引に係る納税地
(1) 法人の納税地
イ 内国法人・・・その法人の本店又は主たる事務所の所在地
ロ 外国法人で国内に事務所等を有する法人・・・その事務所等の所在地
(注) 人格のない社団等の本店又は主たる事務所の所在地は、次に掲げる場合の区分に応じ次によります。
(イ) 定款、寄附行為、規則、規約等に本店又は主たる事務所の所在地の定めがある場合・・・その定款等に定められている所在地
(ロ) (イ)以外の場合・・・その事業の本拠として代表者又は管理人が駐在し、人格のない社団等が行う業務が企画されている場所
(2) 個人事業者の納税地
イ 国内に住所を有する者・・・その住所地
ロ 国内に住所を有せず居所を有する者・・・その居所地
ハ 国内に住所及び居所を有せず事務所等を有する者・・・その事務所等の所在地
(注) 所得税の納税地について、住所及び居所を有する個人事業者が居所地を納税地として選択したり、住所又は居所のほかに事務所等を有する個人事業者が事務所等の所在地を選択した場合には、消費税の納税地もその選択した居所地又は事務所等の所在地となります。
(3) 納税地の指定
  (1)及び(2)による納税地が、その事業者の行う資産の譲渡等の状況からみて納税地として不適当であると認められる場合には、その納税地の所轄国税局長又は国税庁長官は納税地を指定することができます。
2 外国貨物に係る納税地
 保税地域から引き取られる外国貨物の納税地は、その保税地域の所在地です。
(消法20~23、26、通法21、消令42~44、消基通2ー2ー1)

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【所得税】納税地

 所得税の確定申告書は、提出時の納税地を所轄する税務署長に提出することになっています。
 1 納税地について主なものを三つ説明します。
 (1) 納税地とは一般的には住所地になります。つまり、国内に住所がある人は、その住所地が納税地になります。
 住所とは、生活の本拠のことです。生活の本拠かどうかは客観的事実によって判定されます。
 (2) 国内に住所がなくて居所がある人は、その居所地が納税地になります。
居所とは居住する場所のことです。
 (3) 亡くなった人の所得税の確定申告をする場合には、相続人の納税地ではなく、亡くなった人の死亡時の納税地となります。
 2 納税地の特例
 (1) 国内に住所のほかに居所がある人は、住所地に代えて居所地を納税地とすることができます。
 (2) 国内に住所又は居所のいずれかがあり、しかも事業所などがある人は、住所地等に代えてその事業所などの所在地を納税地にすることができます。
 納税地の特例を受けようとする人は、いずれの場合にも、本来の納税地を所轄する税務署長と特例により納税地とする場所を所轄する税務署長の両方に、納税地の特例を受けたい旨の届出書(「所得税・消費税の納税地の変更に関する届出書」)を提出してください。
(所法15、16、所基通2-1、通法21)

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提出した確定申告書の間違いを法定申告期限の前に発見した場合

Q
 所得税の確定申告書を2月16日に提出しましたが、翌日確定申告書の控を見直ししたところ、計算誤りがあり、正しく計算すると納める税額が増えることが分かりました。申告書の内容の訂正は可能ですか。
A
 法定申告期限内に同じ人から確定申告書が2以上提出された場合には、法定申告期限内にその人からの特段の申出がない限り、その2以上の申告書のうち最後に提出された申告書を、その人の申告書として取り扱うことになっています。したがって、法定申告期限までなら、正しい計算に基づいて作成した新たな確定申告書を、提出することができます。
(注)
1 先に提出された申告書が還付申告書で、かつ、その還付金について既に還付の処理が行われている場合には、この取扱いができないことがあります。詳しくは、直接税務署にご相談ください。
2 法定申告期限を過ぎた後で、確定申告書の記載内容の誤りを訂正する場合には、修正申告又は更正の請求によることになります。
(所法120、所基通120-4)

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報酬額と気合い

 人にもよるだろうが、適正報酬を頂くのが難しい時がある。もちろん、相手のあることなので、杓子定規に報酬を決めて適用するわけにはいかないが、少なくとも、自分が働いた分に見合う報酬を「必ず」頂く必要があると実感したことがあった。
 この仕事は、ボランティアではなく、ビジネスとしてやっているので、無償など論外、よほど戦略性のない限り、低報酬で引き受けるわけにはいかないし、引き受けない方がよい。事務所家賃、水道光熱費、通信費、各種会費、損害保険料、交際費等々、様々な「コスト」が発生している。自分自身の生活費も確保しなければならない。この仕事は、物品の販売のような形があるわけではないので、相手によっては「なるべく安くしたい」と思う人もいるが、安くするにもビジネス上限度があるし、お互いのためにも良くない。仮に安く引き受けたとすると、お客様の「コスト意識」が希薄になり、ゆくゆくはお客様のビジネスにとっても良くない。「仕入れは安くして自分は儲ける」という発想でいると、おそらく相当高い確率で「損失」となって自分に返ってくる。
 また、低報酬は自分自身の仕事に対する姿勢に対しても良くない。どんな仕事であれ手を抜くつもりなど毛頭ないが、無意識の次元で強弱が付いているのは否めない。それが気合いにも影響を及ぼしているだろう。確かに、この仕事に限らず一般的に、数百億円の仕事と数万円の仕事では、緊張感は違うだろう。「金額的重要性」という言葉があるように、ランク付け、悪性性の判断等々で、「金額」は非常に重要である。「カネ」に走るのは悲しいが、「お金」が重要であることは、「コスト意識」の観点からも重々認識しておくべきである。

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状態を整えてから主義

 「くそ~っ、なにやってるんだ!」という感じなのだが、今日は早起きして執務スペースを整え、落ち着いたのが今だ(途中、ビックカメラに行ったが)。昨日、IKEAで大量に買い物をし、午前中一杯かかって組み立てを行った。御経験の方には解かると思うが、IKEAの家具類の組み立ては相当きつい。本日は書棚1個、引出2個、扉付収納2個、間仕切り1個だ。
 私は、何か(特に仕事や勉強)を始める前には、身辺を綺麗にしておきたい性質だ。この点は、慶應義塾大学商学部T教授も同様だそうだ(「同様」というと私と同列のようで怒られそうだが)。書類等が散乱している中で仕事をするのは耐えられないのだ。ちなみに、私は、仕事をしていて書類が散らかりそうになると、一呼吸おいて書類を整理する。この方が仕事の効率が滅法良い。
 写真は、新調した机と本日組み立てた書棚等だ。これからやっと仕事に取り掛かる...

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心機一転~マネジメント・デスク~

 ワケあって(慶應義塾大学商学部T教授風に)、机を新調しました。ワケあって、幅180cm、奥行85cm、高さ70cmのサイズにしました。やりすぎた感はありますが、広々と余裕をもってスペースを使えるので、心地よさがあります。毎日使うものなので、こだわって選びました。R天でかなり調べまして、最後は2つの候補に絞られましたが、最近は何でも「国産」がよいと考えています。素材等について友人の建築士Eにもアドバイスを頂いたりして、結局、KOKUYOの「MG-S37DF1885-P1YN」というものにしました。ちなみに、奥の本棚が整然としていませんが、これは一時的な状態であり、可及的速やかに整理整頓する予定です。
 さて、頑張って仕事します。

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本質は国境を越える

 本日午前中は、台湾人のお客様を訪問した。源泉徴収等の手続的なことから今後のビジネスのことについて協議したわけだが、私がふと、彼女がビジネスを始めるきっかけについて質問したことがきっかけで、その後30分以上話し込んでしまった。
 彼女曰く、「30代は数々の困難があるが色々なことへのチャレンジを恐れないこと、40代はこれまでやってきた中で絞られたビジネスについてKeep Tryingだ!Keep Tryingしないで諦めてしまうとその先の境地(いわゆる成功)に行けない。困難はあるだろうが続けることだ。」と熱く語っておられた。おもわずメモしてしまったところ、ウケた。
 お客様から学ぶことは多い。一生懸命お客様をサポートしながら自分も成長する、これこそ、独立開業の醍醐味だ。

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預貯金の利子(個人所得税)

 利子所得は、10種類ある所得の1つで、「預貯金(銀行預金・郵便貯金)・債権・公社債」などから得た利子(所得)のことである。基本的に必要経費などの控除がないため、「利子所得=収入金額」となり、この金額が課税所得となる。一般的に、利子所得は、「源泉分離課税」の方式で税金が徴収されるので、確定申告の必要はない。つまり、すでに税金が差し引かれた形で利子が支払われている。利子所得の税率は一律20%(所得税15%・住民税5%)」となっている。
 ただし、気をつけなければならないのは、まず、「収入金額=手取金額÷80%」という点である。預金通帳に印字されている金額は手取金額なので、その金額を80%で割り返して収入金額を把握する必要がある。また、「事業用の運転資金に係る預金利子は利子所得となるが、源泉分離課税されているので、確定申告する必要はない。」ということが分かっていたとしても、会計処理において、
(借)預金   80(貸)受取利息 100
   源泉税  20
(借)預金   80(貸)雑収入  100
   源泉税  20
 などと仕訳をきってしまうと、事業所得として計上されることになってしまい、源泉分離課税されている利子について再度課税されることになるし、さらに、源泉分離課税により徴収された税額は税額控除の対象にならない。したがって、会計処理については、例えば、
(借)預金   80(貸)事業主借  80
 といった仕訳をきることになると考えられる。

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動線

 現在4人の会計士でシェアしている事務所の、ちょうど私のスペースを写したものである。4人の人間が同居すると、その分部屋も汚れるし、特定の人に負担がかからないよう、総務的な作業を平等に分担する必要がある。
 今月1月は私が掃除担当であり、本日1月25日に掃除をした。トイレ掃除、給湯室掃除、床掃除、ゴミ整理等々を行うわけだが、自分が汚しているのはもちろんのこと、普段お世話になっている他の3人の顔を浮かべながら、トイレの便器を擦ってみた。最近、「トイレの神様・・・・」みたいな曲が流行っているが、別にべっぴんさんになろうとは思っていない。純粋に、トイレ掃除をすると気持ちがすっきりするものだ。
 さて、掃除担当の専権事項として、モノの配置を変えてみた。上写真は配置変更後のものである。手前右側にミネラルウォーター、部屋の奥のやや左側にハンガーがあるのがわかるだろうか。これまでは、ミネラルウォーターは、ハンガーの位置にあった。来客者にさっとお水やお茶をお出しできるような配慮からだったのだが、難点もある。例えば、来客中に自分がお水やお茶を飲みたくなった時に、来客者の前でお水やお湯を注ぐわけにはいかない。考えてみれば、お水やお湯を使う頻度は、来客者に比べて自分たち4人の方が格段に高い。仮に来客者があったとしても、別に来客者の近くになくてもよい。そう考え、独断で配置転換を行ってみた。他の3人の評価はい如何に。

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『本音ベース』と仕事と税務

 昨晩、現在一緒に仕事をしている先輩会計士I氏と横浜の龍昧で食事をした。私は大学生の時に横浜に住んでおり、横浜TACに通っていたものだから、龍昧にはかなりお世話になった。安くてうまい店で、現在でも満足できる店である。昼も夜も客が途切れることがなく、老若男女問わず、一人で来る客が多いのが特徴だ。
 さて、I会計士は中国の上海に駐在経験のある中国通であり、中華料理にはうるさい。そのI会計士が、龍昧をこう言い表わしている。「本音ベース」の店。私の中では、「本音ベース」という言葉がキーワードとなった。つまりどういうことかというと、こうだ。一番端的な例としては、若い女性が一人で来て、ビールと餃子とニラレバ定食をおいしそうにぺろりと食べる、そんな店なのだ。結局のところ、ほんとに気を許し、自分がリラックスして、食べて満足という店とは、こういうことなのだということ。形振り構わずとまではいかないが、洒落た店ですかして食事をするという行為は、たまにはいいけれども、人間が、心から、本音で望むものではないのだろう。
 この「本音ベース」が、ここまで来たか、という例を今朝発見した。東北地方の零細スーパーで、おはぎがバカ売れしているというのだ。しかも、地元のみならず沖縄以外の地方から客が来ると言う。彼岸の時期には2万個もうれるという。1個105円。ちなみに、年商6億円という。本音ベースもここまで来たかと驚いた。おはぎですよ、おはぎ。誰にでも作れるおはぎ。そのおはぎで勝負している人がいるのだ。ある意味、目から鱗であった。勝負するものは何でもいい。シンプルなものでも、真剣にやれば勝負できるのだ。ちなみに、そのスーパーでは、レシピなしの勘で作られた手作りのお惣菜も人気があるという。すばらしい。
 ところで、税務というのは、まだまだ勉強する必要があるのだが、そうした人間の本音を良く分かっているような気がする。政策的な側面が強いが、それは強弱の問題であって、まあ、良く分かっているような気がする。例えば、会社を設立してから商売が軌道に乗るまでの出来事を簡単に列挙すると、設立費用、役員(自分)に給料を払う、人を雇う(=人に給料を払う)、車などを購入する(ただし、プライベートとしても使用するのが実態だろう)などなど。これらの出来事にはすべて、税務の規定がある。つまり、税を取こぼさないような仕組みになっている。一番端的なのは、思った以上に利益が出た場合、「税金で払うよりは・・・。」という思考になる人が多い。もちろん「払うべきものは払う。」という方もいるが、そこは「本音ベース」のはなしだろうか。
 いずれにせよ、細かい税法の規定も重要だが、そういった人間の本音と、税法の立法趣旨をおさえておきたいものだ。

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人間の喜びとストローク

 人間の喜びは、「人に必要とされること」だと考えている。また、あまりにも意識的にやるといやらしくなるが、「人に必要とされる」状態になるためには、人とのストロークを通じて、自分というものを適切に開示し、人に尽くすことであると考えている。これらの点を仕事に当てはめるならば、「可能な限りお客さんに尽くし、適正な報酬を頂く」ことが基本であろう。ただし、適切な報酬は、金銭的報酬のみでは測れない面がある。仮に自分の想定している金銭的報酬に満たないとしても、チャンス、自らの能力向上、お客さんとの関係を構築することによる無形の利益、その他、「この仕事は自分にとって引き受けるべきものだ」という確信が自分の中で得られれば、その仕事は引き受ければよい。独立開業している以上、基本的には自分が判断し、リスクと経済的便益は自分が享受するわけだから、他人がどうこう言う話ではない。その意味で、自分が自分自身のことをどれだけ信じているかが重要となってくる。
 なお、金銭的報酬は適正水準であることが重要である。自分のした仕事に比して過大な報酬は、お客さんと後々トラブルになる可能性がある。「あれだけ払ったのだから・・・」となる可能性がある。一方で、自分のした仕事に対して過小な報酬は、自分をダメにする。自分不信を招く。したがって、報酬決定は毎回悩む。
 さて、冒頭の、「人間の喜び」に関して、最近心がけているのは、人により興味を持ち、よりストロークをすることだ。また、自分が得るもの以上のものを差し出すことに努めているつもりだ。こういうことを考えていると、新人の頃を思い出す。新人の頃、元の職場のN代表社員という偉い上司がおり、今でも記憶している言葉がある。会食の席でN代表社員がいきなり相撲の番付を取り出し、「俺はココ(横綱)、お前はココ(一番下の小さい文字のところ)。おまえはまだまだこれからなのだから、一喜一憂せず、とにかく一生懸命働け。」と。また、当時独立性について今ほどうるさくない頃、N代表社員を筆頭に、あるクライアントの保養施設に行った。このクライアントは、IPO以前からN代表社員が関与していた会社であり、確かに、N代表社員の貢献は大きい。N代表社員は、「この別荘は俺のものだと思っている。」というのだ。つまり、「会計士だけの稼ぎではこんな別荘を持つことは厳しいが、別に自分自身が持っている必要はない。一生懸命仕事して、その仕事を通じてこのような機会が得られるならば、それでいいではないか。」ということだ。N代表社員は、時に自らの生い立ちを話して下さったが、結構大変な努力をされている方だ。なるほどと思った。
 そういえば、私の母親もある意味同様で、欲がない。他人に対してではなく、自分自身に対するプライドは持っていて、それを冒涜されそうになると守ろうとするくらいで、他人に対して求めることはしない。そんな母親を見ていると、人が寄ってくるのがわかる。母親はよく人の話を聞くので、相手にとっては、話をよく聞いてくれる有難い存在なのだそうだ。
 人は、私欲のためではなく相手のために一生懸命尽くしてくれた人のことは、一生忘れない。
 小学生の時に一人で祖母宅に向かう電車の中で、前に座っていたおばさんが飴をくれたこと。遠足の時に水筒を落として水筒の中のガラスが粉々になって悲しい思いをしている時、なぜか母親が学校に迎えに来てくれていたこと。なぜだかわからないが、中学校の歴史の先生が「おまえは根性がある」と、向学心を駆り立ててくれたこと。高校の担任が、自分の全人格を分かってくれていて、「おまえは推薦入学で大学に行くな。自分の力で行け。」とか、「お前はお前らしくいつも悩んでいるのがよい。」とか言ってくれたこと。公認会計士第二次試験に合格した日に、在京の地元の友人たちが急遽集まって祝ってくれたこと。私は出会いには恵まれてきたと、つくづく思う。多くの人に助けられてきている。
 「自分が、自分が」ではなく、いかに人を思いやるか。しかし、一つ忘れていはいけないのは、凡人は、自分自身がある程度満たされていない限り、人に尽くすことはできない。自分自身が満たされていないのに人にに尽くすことをしたとしても、長続きはしない。だから、自分を信じて自分で自分自身に充電したり、時には人からもらったりしながら充電し、その上で人に尽くすことが重要だ。なお、人からもらうのは、なにも、直接何かをもらわなくてもよい。人とのストロークを通じて、自分の中で、なにかじんわりくるようなものに気付けばよい。
 今日は午前中にJICPAで報告会、午後はT線のK駅にある外国人クライアントを訪問したのだが、この仕事をしていると、上記のようなことをしばしば考える。この仕事はいい仕事かもしれない。

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Blog1周年

 早いもので、「なぜ会計士EBJはうざいのか?」-独立系会計士の思念-のBlogの初めての記事を2009年12月2日に書いてから1年が経過した。毎日更新し続けることは叶わなかったが、とりあえずは、このBlog自体を続けられたことを心に留めておきたい。
 当初は、「あるテーマについて、公認会計士としての切り口から考察する。」ことで一貫して記事を書くつもりであったのだが、「単なる事実・歴史等の説明」・「単なる制度説明」→「『あるテーマについて、公認会計士としての切り口から考察する。』ことが多少なりともできてきた(?)」→「日々の雑感(っていうか日記?)」のような内容の変遷を辿ってきており、最近は自分の中でもしっくり来ていなかった面もあった。
 いずれにせよ、これから2年目に突入する。ここで今一度、「あるテーマについて、公認会計士としての切り口から考察する。」ことを確認し、「なるべく」そうしようと思う。ただ、一つ言えるのは、「公認会計士」といっても、仕事上、会計・税務等のことだけで行動しているわけではない。様々な人間模様、組織文化等に接するわけで、むしろ、そっちの方が大事、というケースもある。したがって、カテゴライズの仕方としては、従来通り、「人」、「教養」、「仕事」という3つでやっていきたいと思う。単なる日記にするつもりは毛頭ないので、いかに考察を深めるかが重要と考えている。

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推計課税訴訟における民訴法第312条の文書提出義務について

1  所得税及び法人税における推計課税とは、税務署長が更正又は決定をするに当たって、直接資料によらず、各種の間接的な資料に基づいて推計により所得金額を認定する方法をいう。
 本来所得税及び法人税は、納税義務者の申告により実額に基づき課税標準及び税額等が確定するものであるが、納税者の帳簿書類の不存在又は記帳の不備、税務調査に対する非協力等によって実額が把握し得ない場合、課税庁は所得金額を推計し、更正又は決定せざるを得ないこととなる。この場合、課税を放棄することは、租税の公平負担の観点から許されない。ゆえに、ここに推計課税の認められる根拠があると解されている(1)。
 そこで、所得税法156条は「税務署長は、居住者に係る所得税につき更正又は決定をする場合には、その者の財産若しくは債務の増減の状況、収入若しくは支出の状況又は生産量、販売量その他の取扱量、従業員数その他事業の規模によりその者の各年分の各種所得の金額又は損失の金額(略)を推計して、これをすることができる。」と定められており、法人税法においても131条に同様な規定が設けられている。しかし、租税はそもそも担税力に応じて公平に負担がされるべきものであることからすれば、このような実体法の定めをまつまでもなく推計による課税は当然に許されるものと解される(2)(ただし、推計課税の必要性の観点からは種々論じられているが本稿においては割愛する。)。
 なお、所得税法及び法人税法のいずれにおいても、青色申告者に対しては実額課税のみが許され、推計課税は許されていない (所得税法156条、法人税法23条)
2  推計の方法については、両法とも「財産若しくは債務の増減の状況、収入若しくは支出の状況又は生産量、販売量その他の取扱量、従業員数その他事業の規模に」より各種所得の金額等を推計することができる旨定められているが、納税者の経済活動は、極めて複雑多様なものであって、特定の推計方法によってのみ認識し得るものとすることは合理的とはいえず、同規定に掲げる方法は例示にすぎないものと解されている(3)。
 課税実務における推計方法の主要なものとしては純資産増減法、比率法、効率法及び消費高法等があるが、これらの方法のうち、より多く用いられる方法は、比率法又は効率法であるが、両法を併用して用いることもある。
 文書提出命令の申し立ての対象となった課税処分取消訴訟の多くは「比率法」 によったものであり、その中でも「同業者率」によるものである。この方法は、当該納税者と業種が同一で、業態、事業規模、立地条件等において類似性のある同業者を選択し、その所得率、差益率、経費率等の平均値を算出して、その率を用いて当該納税者の所得金額を算出する方法である。
3  同業者率による所得金額の推計に当たっては、納税者と業種、業態、事業規模、立地条件等の類似するいわゆる同業者の売上原価率、所得率等(同業者率)を把握しなければならない。そこで、同業者率を把握、算定するためには、納税者の事業地の近隣地域の同種事業者の中から営業規模その他業態の類似する者を調査、抽出する必要がある。そのための資料として、数値その他の資料としての正確性、調査の容易性から、通例は、各税務署長が青色申告者から提出を受け保管している青色申告決算書を用いることとなる。この意味で青色申告決算書は、課税庁が推計課税を行うに当たっての重要な資料の一つであり、多くの事案においては、これを利用することなく合理的に所得金額を推計することは、極めて困難なものといえる。一方、このようなやむを得ない事情により、青色申告決算書を利用して同業者率を算定せざるを得ないこととなるが、そのための基礎数値を公表することは、各申告者の営業上の秘密やプライバシーを侵害することにつながる危険性を包含しているものといえる。そこで、税務署長は、守秘義務遵守の立場からその利用に当たり、その危険性が現実化しないよう細心の注意が必要であり、その際の大事な点は、同業者(青色申告者)の匿名性の確保にあるものといえる。すなわち、所得計算の基礎数値が公表されても、その申告者が誰であるかが特定されない限り、営業上の秘密やプライバシーへの侵害は生じないものといえる。そこで、被告としての税務署長は、このような見地から、課税処分取消訴訟において、同業者率の正確性とその適用の正当性を立証するため、申告者の住所、氏名その他の固有名詞を削除した青色申告決算書の写しを書証として提出していた。このような方法によったのは、削除措置により同業者の匿名性が維持でき、守秘義務に反することにはならないとの判断によったものであった。しかし、青色申告決算書には税務署長側が立証しようとする事項以外にも、例えば従業員数、専従者の年齢、償却資産の内容等沢山な情報が記載されており、また、青色申告決算書自体の筆跡から、申告者の特定が可能になる場合があり、その後、現に、具体的訴訟事件において原告側が、青色申告決算書の写しに基づく調査により、申告者を特定し得たとする事例が散見されるようになった。しかも、その同業者と名指しされた者が、原告側からその事業内容等につき調査されたりして困惑するという事態が生じるに至った。、このような事態は、申告者の住所、氏名等を削除しても、その匿名性が維持できないことが少なくないことを現しているものといえる。さらに、このことは、課税庁がこのような形で青色申告決算書を書証として提出することは、守秘義務に違反することを示しているものといえる。
 そこで、課税庁としては、守秘義務違反になるおそれがなく、しかも、同業者率の正確性、その適用の正当性の立証として必要かつ十分な書証として、国税局長の発した一般通達に基づき、青色申告者のうち選定条件を充足する者の決算項目中、売上金額、売上原価、一般経費等の同業者率算定に必要な数値を各税務署長が青色申告決算書及びその他の資料に基づき調査し、報告した文書(「同業者調査表」)を提出するに至った。
4  推計による課税処分について、納税者側から課税処分取消訴訟が提起され、その訴訟中において推計の基となった同業者の類似性、文書の成立及び内容の真偽の確認等を理由として、推計の基となった類似同業者の青色申告決算書等の原本、青色申告決算書等の隠ペい部分を開示した文書又は固有名詞等の隠ペいされていない同業者調査表、さらには、所得調査書や反面調査書等の文書提出命令の申し立てがなされ、当該文書の民事訴訟法(以下「民訴法」という。)312条各号に定める文書該当性、各税法等に定める守秘義務該当性が争われることが近年著しく多くなった。
5  民訴法312条に定める文書提出義務の規定の趣旨は、文書の所持者である当事者及び第三者の文書提出義務の原因について定めたものである。この義務は、申立人に対する私法上の義務ではなく、国家に対する公法上の義務であるといわれている。それは、文書を証拠として使用することにより、事実認定の適正を図ることが、裁判制度の適切な運用の基礎となることから、国民の義務として文書提出に協力すべきことを認めたものである(4)。したがって、文書の所持者が任意に提出することを期待していては、その提出が得られない場合に単に挙証者の立証の途を閉ざしてしまうことになりかねないという挙証者の利益のみに基づくものではないと解されている(5)。
6  本稿においては、推計による課税処分の取消訴訟において文書提出命令が申し立てられたものについて、昭和45年以降の決定例(70件・抗告審等を含む。)を概観することにより、文書の所持、引用文書、引渡又は閲覧を求めることができる文書、利益文書、法律関係文書及び守秘義務等について分析検討を加え、推計による課税処分の取消訴訟における文書提出命令の申し立てと申告納税制度における文書提出義務の関係について解明を試みたものである。
(推計による更正又は決定)
所得税法第156条 税務署長は、居住者に係る所得税につき更正又は決定をする場合には、その者の財産若しくは債務の増減の状況、収入若しくは支出の状況又は生産量、販売量その他の取扱量、従業員数その他事業の規模によりその者の各年分の各種所得の金額又は損失の金額(その者の提出した青色申告書に係る年分の不動産所得の金額、事業所得の金額及び山林所得の金額並びにこれらの金額の計算上生じた損失の金額を除く。)を推計して、これをすることができる。

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迷い~何に迷うのか~

 「労力」=「経験」としよう。「経験」と「報酬」の兼ね合いをどうするか、迷うところだ。現在、ある仕事の引き合いがあるのだが、報酬的には厳しい面がある。
 おそらく、この仕事は引き受ける。クライアントは外国人。英語でのコミュニケーションで、会計システム、法人税、消費税、所得税のあらゆる会計・税務マターに関与することになろう。大変な面もあろうが、貴重な経験になりそうだ。ここはひとつ、飛び込んでみるのがよいのか。
 迷ったら飛び込んできたのが私の人生。大怪我をしない程度に飛び込むのだろう、きっと。

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仲間

 仲間はいいものだ。ただ、「仲間」と思えるほどの人間関係を築き上げるは容易ではない。この際、頻繁に会っているかどうかはどうでもよい。「仲間」と思えるかどうかが重要である。おそらく、中学校、高校など、毎日顔を合わせるような環境にないと、仲間を作るのは難しいだろう。社会人になると、特に難しくなるものだ。
 ところが、社会人になっても仲間を作れる方法がある。一定期間、海外で寝食をともにすることだ。妙な連帯感が生まれるのだ。同性だというのに、まるで、ラブワゴンで旅をした仲間のように。写真は、東南アジア某先進国でのラスト・ナイト。現地のOL達と楽しく会話をしているところをファインダーに収めた。
 彼らとは帰国してからも立て続けに会っている。今月も会う予定だ。皆それぞれ、公認会計士としてたくましく生きている。それだけでも励みになる、いい仲間だ。

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45歳から海外を目指す

 2か月ぶり位にようやく髪を切りに行けた。数年前に神楽坂に住んでいた時から通っている、一風変わった美容室だ。椅子は1つ。つまり、客は1人しかいない。美容師と一対一の、プライベートな美容室だ。
 その美容師K氏とは、ざっくばらんに、なんでも話す。仕事のこと、プライベートのこと、なんでも。K氏は現在45歳で、神楽坂で20年美容室をやっているというから、立派である。実は元ヤンキーで、かなりワルだったようだ(写真で確認済み)。しかし現在は、常に自分に厳しく、仕事に対しても誠実だ。業種は違うが、独立開業している者として、非常に勉強になる。
 そんな彼も、以前から海外で働くことが夢であり、近々実現しそうとのことだ。自分も短い期間ながら、海外で働いていたので、その意気込みに共感できた。なにせ、45歳からの海外だ。それまで日本で築き上げてきたものを捨ててだ。ちなみに、そんなチャンス到来に備え、体を鍛えたり、日々の生活を節制したりと、準備を続けてきたそうだ。
 自分も、そんな45歳になれたらよい。45歳になっても、何事にもチャレンジできる、体と心を持っていたいものだ。
 

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比嘉愛未~まぶしい人~

誓います。そんな男性になります。
Notes
CMにおける芸能人登用の効果に留意が必要である。クレジットカードを変えそうな勢いである。

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プロフェッショナル~呼吸器外科医・伊達洋至~

 伊達は、患者や家族の生きたい、治りたいという強い思いにふれるたびに、元気にしてぜひ世の中に帰してあげたいと強く思い、それによって医師の力が引き出されると信じる。伊達は1998年に日本で初めて肺移植を成功させた。それも、目の前の患者やそれまで救えなかった人々が、力を与えてくれたからこそなしえたことだと伊達はいう。
 彼からの気づきは、日々鍛錬していること、毎朝ランニングをして体力維持・増強を図っていること、人に恵まれていること、謙虚であることだ。特に印象的だったのは、手術の前日に、ガーゼを人間の皮膚に見立て、縫合の練習をしている場面であった。手術中に直面した問題に対する決断も凄い。
 彼を見ていて、自分が恥ずかしくなった。00:15からの再放送を観たのだが、観終わった後、思わず、今後の方針をメモし、気持ちを新たにした。現在03:00だが、かなり目がさえてしまい、眠れそうにない。

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プロフェッショナル~お笑い芸人・松本人志~

 貧しい少年時代に、笑いを生み出す力を育んだ松本。その笑いは、見方を変えるといつもどこか悲しい。「おもしろい裏にはやっぱり悲しさがあって、悲しさの裏に、葬式でおかしくてしょうがないみたいなことになったり。なんかそういうもんの笑いってやっぱり持ってて。だからおもしろいこと、おもしろいことって考えているんですけど、ちょっと視点変えればすごく悲しくもなるし。だから笑いっておもしろいなぁって思いますね」という。
 彼からの気づきは、常に模索し続けているということ。華やかな裏でとても忙しくしているということ。ON AIR以外の彼の顔は、苦悩というか、「現状に満足していない」感が見て取れる。また、独特の視点からの企画能力は卓越しているが、それをサポートする一流の仲間が常にいることも印象的であった。
 「素人では及ばないプロの領域」こそプロたる所以だという。たしかに、そうだ。

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プロフェッショナル~仕事の流儀~

 いつものこだま639号で浜松に向かっている。東京発08:26、喫煙グリーン車。だ~れもいない。大抵は月曜日に移動するため、仕事モードへの「切り替え」を行う神聖な時間だ。
 「仕事モード」とはなにか。社会人になって働くようになってから、「働く」ことの意味を模索し続けてきた。そういえば、最近NHK番組「プロフェッショナル-仕事の流儀-」が再開された。再開第一弾は松本人志さん。今後も楽しみである。ちなみに彼のMHKは素晴らしかった。シュールさがたまらない。よくぞNHKと組んだもんだ。
 さて、プロフェッショナルとして良い仕事をするということは、ある意味、自らモチベーションを維持し、自ら勇気を持って立ち向かっていく姿であると考える。そのための流儀は人それぞれであろう。ちょっとした仕草も含む。この点、私の場合はどうだろうか。流儀などあるのか。あえて挙げるならば、
①どこへ行っても仕事スペースの整理整頓を行う。管理のための管理とならない範囲内であらゆるカテゴライズを行う。
②身だしなみをしっかりする。スーツにきちんとプレスをかける。靴を磨く。姿勢よく歩く。立ち姿を意識する。
③他人に強要しないよう気をつけながら、日本を良くする、クライアントを良くするという熱い心を持つ。
④自分を未熟だと思う。
 偉そうなことを書いたが、嘘ではない。上記のことは、常にそうありたいと思い続けている。焦ってもしょうがないことなのだが、なんとしても一流の公認会計士になることを「希求」し続けている。

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住宅を新築又は新築住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)

[平成22年4月1日現在法令等]
1 概要
 住宅借入金等特別控除とは、居住者が住宅ローン等を利用して、マイホームの新築、取得又は増改築等(以下「取得等」といいます。)をし、平成25年12月31日までに自己の居住の用に供した場合で一定の要件を満たす場合において、その取得等に係る住宅ローン等の年末残高の合計額等を基として計算した金額を、居住の用に供した年分以後の各年分の所得税額から控除するものです。
2 住宅借入金等特別控除の適用要件
 居住者が住宅を新築又は建築後使用されたことのない住宅を取得した場合で、住宅借入金等特別控除の適用を受けることができるのは、次のすべての要件を満たすときです。
(1) 新築又は取得の日から6か月以内に居住の用に供し、適用を受ける各年の12月31日まで引き続いて住んでいること。
 なお、居住の用に供する住宅を二つ以上所有する場合には、主として居住の用に供する一つの住宅に限られます。
 (注)贈与による取得は、この特別控除の適用はありません。
(2) この特別控除を受ける年分の合計所得金額が、3千万円以下であること。
(3) 新築又は取得をした住宅の床面積が50平方メートル以上であり、床面積の2分の1以上の部分が専ら自己の居住の用に供するものであること。
(注) この場合の床面積の判断基準は、次のとおりです。
1 床面積は、登記簿に表示されている床面積により判断します。
2 マンションの場合は、階段や通路など共同で使用している部分については床面積に含めず、登記簿上の専有部分の床面積で判断します。
3 店舗や事務所などと併用になっている住宅の場合は、店舗や事務所などの部分も含めた建物全体の床面積によって判断します。
4 夫婦や親子などで共有する住宅の場合は、床面積に共有持分を乗じて判断するのではなく、ほかの人の共有持分を含めた建物全体の床面積によって判断します。
 しかし、マンションのように建物の一部を区分所有している住宅の場合は、その区 分所有する区画の床面積によって判断します。
(4) 10年以上にわたり分割して返済する方法になっている新築又は取得のための一定の借入金又は債務(住宅とともに取得するその住宅の敷地の用に供される土地等の取得のための借入金等を含みます。)があること。
 一定の借入金又は債務とは、例えば銀行等の金融機関、独立行政法人住宅金融支援機構、勤務先などからの借入金や独立行政法人都市再生機構、地方住宅供給公社、建設業者などに対する債務です。しかし、勤務先からの借入金の場合には、無利子又は1%に満たない利率による借入金はこの特別控除の対象となる借入金には該当しません。また、親族や知人からの借入金はすべて、この特別控除の対象となる借入金には該当しません。
 詳しくは、コード1225(住宅借入金等特別控除の対象となる住宅ローンなど)を参照してください。
(5) 居住の用に供した年とその前後の2年ずつの5年間に、居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例など(租税特別措置法31条の3、35条、36条の2、36条の5、37条の5若しくは37条の9の2又は旧租税特別措置法36条の2若しくは36条の5)の適用を受けていないこと。

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「困っている」ところへ!!!

 私は人の弱みに付け込んで何らかの利益を得ることは悲しいことだと思うので、決してしたくない。しかし、人が困っていて、それを助けてあげた結果としてお金をもらうことは、これこそまさに「仕事」の原点だと思う。「人の弱みに漬け込むのとどう違うの?」と思う人もいるかもしれないが、明らかに違う。そこに「良心」があるかないかだ。「良心」なくして得た利益は、後で「損失」となって自分に返ってくるに違いない。ブーメランのように。
 「人がどのような点で困っているか」を考えることは、業務開発をしていく上で、有用な手段かもしれない。そういえば、松下幸之助大先生もそのようなアプローチだったという。結局は対価としてお金をもらうのだが、人のために何かをしてあげて、喜ばれるのであれば、清々しいお金だ。マネーロンダリングの必要は皆無だし、ヘタに使えないはずだ。
 「困っている」ところへ!!!

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パート収入はいくらまで所得税がかからないか

[平成22年4月1日現在法令等]
 配偶者の収入がパート収入だけの場合、所得税に関して次の3つのことが問題になります。
1 配偶者本人の所得税の問題
 パートにより得る収入は、通常給与所得となります。給与所得の金額は、年収から給与所得控除額を差し引いた残額です。給与所得控除額は最低65万円ですから、パートの収入金額が103万円以下(65万円プラス所得税の基礎控除額38万円)で、ほかに所得がなければ所得税はかかりません。
2 配偶者控除の問題
 妻の合計所得金額が38万円以下であれば、夫は、所得税の配偶者控除を受けることができます。つまり、妻の収入がパート収入だけの場合、その収入が103万円以下であれば給与所得控除額の65万円を差し引くと所得金額は38万円以下となり、配偶者控除が受けられるということになります。
3 配偶者特別控除の問題
 所得税の配偶者特別控除が受けられる要件は次の2つです。
(1) 納税者本人の合計所得金額が1千万円以下(給与収入だけの場合には、おおむね年収1,230万円以下)であること。
(2) 配偶者の合計所得金額が38万円超76万円未満であること。
 このことから、(1)の要件に該当する場合には、配偶者のパート収入が103万円超(38万円+給与所得控除額65万円)141万円未満(76万円+給与所得控除額65万円)で、ほかに所得がなければ、配偶者特別控除を受けることができます。
 配偶者特別控除の額は、配偶者の所得金額により異なり、配偶者の所得が増えるに従い38万円から段階的に少なくなっていきます。
(所法2、28、83、83の2、86)

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切手と消費税

【照会要旨】
物品切手の譲渡は非課税とされていますが、物品切手を購入した場合はどのように取り扱われるのでしょうか。
【回答要旨】
物品切手の譲渡は非課税とされていますので、それを購入した段階では課税仕入れに該当しませんが、物品又は役務の提供の引換給付を受けた時にその引換給付を受けた事業者の課税仕入れとなります。ただし、購入した物品切手で自ら引換給付を受けるものについて、継続して購入する日の属する課税期間における課税仕入れとして処理しているときは、この処理は認められます(基通11-3-7)。
【関係法令通達】
消費税法基本通達11-3-7
法別表第一第4号イ又はハ《郵便切手類等の非課税》に規定する郵便切手類又は物品切手等は、購入時においては課税仕入れには該当せず、役務又は物品の引換給付を受けた時に当該引換給付を受けた事業者の課税仕入れとなるのであるが、郵便切手類又は物品切手等を購入した事業者が、当該購入した郵便切手類又は物品切手等のうち、自ら引換給付を受けるものにつき、継続して当該郵便切手類又は物品切手等の対価を支払った日の属する課税期間の課税仕入れとしている場合には、これを認める。

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受取利息に係る税金は、損金算入ですか、損金不算入ですか。

非常にややこしいのですけど、法人税の計算において源泉所得税は損金算入又は損金不算入のどちらでもいいのです。原則は損金算入です。ところが税額控除を受けるには、課税技術上の問題から損金不算入とします。損金算入よりも税額控除の方が有利ですからたいていの会社は損金不算入で処理をして税額控除を受けます。
源泉徴収されている地方税(道府県民税利子割額といいます)は法人税の申告において損金不算入です。
受取利息に対しては15%の所得税と5%の住民税が源泉徴収されます。1万円の受取利息が発生した場合、2000円控除されて通帳に記帳されるのは8000円になります。2000円の内訳は源泉所得税が1500円と住民税が500円です。
受取利息は1万円ですから本来の収益は1万円です。税率を30%としますと3000円が法人税となるはずです。しかも既に1500円先払いしていますから実際の納付額は1500円です。
ところが源泉所得税を損金算入で処理するということは、通帳に記帳された8000円に損金不算入の住民税500円を加算した8500円に対して30%を掛けます。2550円が法人税額になります。3000円と2550円では後者の方が得したように見えますけど、実は15%分すなわち1500円分を源泉徴収されていますので2550円と1500円の合計額の4050円を納税することになります。損金算入した場合は、税額控除は受けられないのです。
1万円の収益に対して30%の税率では3000円、先払い分の1500円を控除して1500円となるはずなのに、損金算入しますと4050円と計算されます。そこで、税額控除の方を選択します。
8000円に損金不算入として2000円を加算します。課税額1万円に対して30%を掛けますと3000円が求められます。既に1500円が源泉徴収されていますので3000円から1500円を控除した1500円が実際の納付額となります。
源泉所得税は法人税の前払、住民税は地方税の前払と考えます。従って、法人税の申告において源泉所得税の税額控除を行ない、道府県民税の申告において住民税(道府県民税利子割額)の税額控除を行ないます。
http://internet-kaikei.com/keiri/shinkoku.html
法人税法上損金とならないもの具体例
損金の額に算入した道府県民税利子割額 預金等の利子に課された利子割額(5%)
法人税額から控除される所得税額 預金等の利子に課された所得税額(15%)
http://www.kk-support.com/setsuzei/ko_sozei.htm#2
利子・配当等については、源泉所得税を差し引かれた金額(手取額)が受取金額となります。この源泉所得税については、損金算入してもしなくてもよいこととなっています。損金算入した場合は、法人税額からその源泉所得税を控除することができません。
どちらが法人に有利かというと、損金不算入として控除所得税額の規定を利用する方です。したがって必ず損金不算入し、控除所得税額を受けるようにして下さい。
http://www.kk-support.com/setsuzei/ko_syotoku.htm#1
後段は古い税率がありますので無視してください。
そこで、法人が源泉徴収された所得税を、法人税の前払的性格を有するものと考え、この所得税と法人税の二重課税を排除するため、源泉徴収された所得税額を、法人税額から控除することにしています。これを所得税額控除といいます。
http://www.kk-support.com/setsuzei/ko_syotoku.htm#2
したがって、当期利益の計算上、費用に計上されている所得税額は、別表4で法人税額控除所得税額として加算されます。
http://www.smash-keiei.com/news_m.php?p=1247
後段の「10% 国税」は「15% 国税」が正しいです。
http://www.pref.ishikawa.jp/zei/a5.html#q31
http://www.pref.ishikawa.jp/zei/a5.html#q34
法人に対して課税された県民税利子割については、その法人の本店所在地の都道府県に申告する都道府県民税の法人税割から税額控除することとなっています。

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ベトナム・リスク???

 最近、チャイナ・リスクという言葉をよく耳にする。カントリー・リスクの一種であり、中国に限らず、海外で仕事をするならば一般的にあるリスクも含まれていると思われるが、中国進出が旬なだけに、存在感のある言葉である。
 上海に駐在経験のあるI会計士がベトナムに来た時に言った言葉が印象的である。「ベトナムは昔の中国に似てるね。ベトナム固有の事情を除けば、おそらく、中国と同様の道を歩むのかもしれないね。」と。
 ようやく2009年の末ごろから、ベトナムへの進出案件が増えてきた(持ち直してきた)感があり、新聞紙上も「ベトナム」という言葉が目立つ。ビジネスにはリスクが付き物だが、回避またはコントロールできるリスクは回避またはコントロールしたいものだ。今後ベトナム進出を検討している企業のために何かできないものか、ちょっと案が浮かんだ。

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Nguuさん

 ベトナム・ホーチミンの事務所で秘書的なことをやってくれていたNguu(グー)さんが、7月から日本に留学するとのことである。大学で日本語学を専攻し、結構日本語を操れるのだが、本人としては、現在の自分のレベルに納得がいかないのだそうだ。私としては、ベトナムで日本語に触れた仕事をやりながらブラッシュアップする方法も勧めてみたが、本人の決意は固かった。彼女にはベトナムでお世話になったことだし、今後も何らかの形で関係を維持できればと考えている。

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公認会計士が構成する組織について

 2010年6月16日付けで、それぞれ独立した4人の公認会計士が、各自の独立を維持しつつも、1つの屋号を共有することにした。
 以前から議論していたことではあるが、複数の独立公認会計士が集まって仕事をする場合、その組織の在り方が問題となる。この点、BIG4などの大組織で公認会計士が働く場合、そもそも上下関係があり、指揮命令系統も明確なため、一般事業会社の組織と同様である。一方、複数の独立公認会計士が集まって仕事をする場合、その組織をどう考えればよいのかというと、結論としては以下のようになった。
「各会計士がピンであることが大前提である。ただし、プロジェクト・ベースでは、エンゲージメントを維持するインチャージ会計士の業務負担を考慮し、報酬で明確に報いることを徹底する。その意味では一時的な上下関係を作る。」
 組織を長く維持していきたいのであれば、結局のところ、「役割」と「報酬」を明確にするしかない。これは自分自身も身をもって経験したことだ。家族や無二の親友ではない以上、「気持ち」で何でも解決するということはありえない。
 昨晩はこんなことを皆で議論していたわけであるが、今となっては率直にモノを言い合える仲になっており、いい話し合いができた。

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キャッシュ・フロー計算書

 キャッシュ・フロー計算書を作成する上でまず明らかにしなければならないのは、「資金の範囲」である。
 作成中

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割引手形

 通常、割引人は金融機関(銀行)で、割引依頼人はその取引銀行と銀行取引約定書を締結している者(融資取引のある者)である。金融機関は、割引された手形代金を割引依頼人の当座預金/普通預金へと入金する。当然、満期日まで待って手形の振出人に支払いを請求する場合に比べて受け取る金額は少なくなるが、即時に現金化したい場合によく用いられる。単に割引と略称されることがある。
 なお、銀行は手形を割引く際に使用する銀行取引約款書の第6条に買戻し特約を設けている(以前は、どの銀行も全国銀行協会が制定した約款書のひながたを使用していたが、現在は各銀行で独自の約款書を用いているため、条項が異なる場合はあるが、内容に差異はないと思われる)。通常、満期に支払を拒絶されたり手形振出人の信用状態が極度に悪化したため支払が不確実になった場合でなければ手形所持人が裏書人に対して代わりに支払をなすよう請求すること(遡求という)はできない。しかしこの約款書の規定により、割引依頼人(銀行に手形を裏書譲渡した裏書人)の信用状態が悪化した場合には、たとえ満期日前であったり手形の支払が不確実になったといえなかったりしても、割引依頼人は割引手形を買い戻す義務が生じる。多くの場合、銀行はこれによって生じた債権と割引依頼人が有する預金債権を相殺することで債権を回収する。
 手形割引を実行した場合の貸借対照表上の処理は2通りである。
 割り引いた手形金額を受取手形の残高から減額し、欄外に注記として「受取手形割引高」を付記する(本則)。現行の金融商品に係る会計基準により、手形割引または裏書譲渡を実行した時点で手形の消滅を認識すると規定されているためである。
 割り引いた手形金額を受取手形の残高から減額せず、流動負債に勘定科目「割引手形」を計上する。割引した手形の期日が1年以上先であっても、流動負債とすることが多い。但し、現行会計基準により割引または裏書譲渡を実行した時点で手形の消滅を認識し負債とは扱わないため、受取手形残高を減額せず負債として「割引手形」を計上する処理は現在はあまり一般的ではなくなっている。
銀行などで手形割引を実行した場合の費用は手形割引料と言い、経理上「手形売却損」として損金処理する。
 平成13年3月期から、「金融商品に係る会計基準」により「受取手形はその割引又は裏書譲渡時に消滅を認識する」と改正され、手形の割引又は裏書譲渡は実質的に手形の売却であると規定された。  手形割引料は、改定以前には実質的に手形を担保とした借入れの利息に当たるとみなされており「支払利息割引料」という勘定科目が使われていたが、改正により勘定科目も「手形売却損」へ改められた。改正以前には「支払利息割引料」は利息と同様に、割引いた手形の満期日までの日数によって日割り計算して期間配分し、満期日が当期の決算日以後の場合には翌期の分は利息の前払いとして計上しなければならなかったが、改正後は、手形を割引いた日付で「手形売却損」を一時の損失として全額計上する処理に改められ、手形割引料を利息として扱うことや期間配分する処理は認められなくなっている(金融商品会計に関する実務指針34)。

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源泉徴収義務者

 [平成21年4月1日現在法令等]
  会社や個人が、人を雇って給与を支払ったり、税理士などに報酬を支払ったりする場合には、その支払の都度支払金額に応じた所得税を差し引くことになっています。
  そして、差し引いた所得税は、原則として、給与などを実際に支払った月の翌月の10日までに国に納めなければなりません。
  この所得税を差し引いて、国に納める義務のある者を源泉徴収義務者といいます。
  源泉徴収義務者になる者は、会社や個人だけではありません。
  給与などの支払をする学校や官公庁なども源泉徴収義務者になります。
  しかし、個人のうち次の二つのいずれかに当てはまる人は、源泉徴収をする必要はありません。
(1) 常時二人以下のお手伝いさんなどのような家事使用人だけに給与や退職金を支払っている人
(2) 弁護士報酬などの報酬・料金だけを支払っている人(例えば、サラリーマンが確定申告などをするために税理士に報酬を支払っても、源泉徴収をする必要はありません。)
 なお、会社や個人が、新たに給与の支払いを始めて、源泉徴収義務者になる場合には、「給与支払事務所等の開設届出書」を給与支払事務所等を開設してから1か月以内に提出することになっています。
  この届出書の提出先は、給与を支払う事務所などの所在地を所轄する税務署長です。
  ただし、個人が新たに事業を始めたり、事業を行うために事務所を設けたりした場合には、「個人事業の開業等届出書」を提出することになっていますので「給与支払事務所等の開設届出書」を提出する必要はありません。
(所法6、183、184、200、204、229、230)
ちなみに、
第四章 報酬、料金等に係る源泉徴収
第一節 報酬、料金、契約金又は賞金に係る源泉徴収
(源泉徴収義務)
第二百四条  居住者に対し国内において次に掲げる報酬若しくは料金、契約金又は賞金の支払をする者は、その支払の際、その報酬若しくは料金、契約金又は賞金について所得税を徴収し、その徴収の日の属する月の翌月十日までに、これを国に納付しなければならない。
一  原稿、さし絵、作曲、レコード吹込み又はデザインの報酬、放送謝金、著作権(著作隣接権を含む。)又は工業所有権の使用料及び講演料並びにこれらに類するもので政令で定める報酬又は料金
二  弁護士(外国法事務弁護士を含む。)、司法書士、土地家屋調査士、公認会計士、税理士、社会保険労務士、弁理士、海事代理士、測量士、建築士、不動産鑑定士、技術士その他これらに類する者で政令で定めるものの業務に関する報酬又は料金
三  社会保険診療報酬支払基金法 (昭和二十三年法律第百二十九号)の規定により支払われる診療報酬
四  職業野球の選手、職業拳闘家、競馬の騎手、モデル、外交員、集金人、電力量計の検針人その他これらに類する者で政令で定めるものの業務に関する報酬又は料金
五  映画、演劇その他政令で定める芸能又はラジオ放送若しくはテレビジョン放送に係る出演若しくは演出(指揮、監督その他政令で定めるものを含む。)又は企画の報酬又は料金その他政令で定める芸能人の役務の提供を内容とする事業に係る当該役務の提供に関する報酬又は料金(これらのうち不特定多数の者から受けるものを除く。)
六  キャバレー、ナイトクラブ、バーその他これらに類する施設でフロアにおいて客にダンスをさせ又は客に接待をして遊興若しくは飲食をさせるものにおいて客に侍してその接待をすることを業務とするホステスその他の者(以下この条において「ホステス等」という。)のその業務に関する報酬又は料金
七  役務の提供を約することにより一時に取得する契約金で政令で定めるもの
八  広告宣伝のための賞金又は馬主が受ける競馬の賞金で政令で定めるもの
2  前項の規定は、次に掲げるものについては、適用しない。
一  前項に規定する報酬若しくは料金、契約金又は賞金のうち、第二十八条第一項(給与所得)に規定する給与等(次号において「給与等」という。)又は第三十条第一項(退職所得)に規定する退職手当等に該当するもの
二  前項第一号から第五号まで並びに第七号及び第八号に掲げる報酬若しくは料金、契約金又は賞金のうち、第百八十三条第一項(給与所得に係る源泉徴収義務)の規定により給与等につき所得税を徴収して納付すべき個人以外の個人から支払われるもの
三  前項第六号に掲げる報酬又は料金のうち、同号に規定する施設の経営者(以下この条において「バー等の経営者」という。)以外の者から支払われるもの(バー等の経営者を通じて支払われるものを除く。)
3  第一項第六号に掲げる報酬又は料金のうちに、客からバー等の経営者を通じてホステス等に支払われるものがある場合には、当該報酬又は料金については、当該バー等の経営者を当該報酬又は料金に係る同項に規定する支払をする者とみなし、当該報酬又は料金をホステス等に交付した時にその支払があつたものとみなして、同項の規定を適用する。
(源泉徴収義務)
第183条 居住者に対し国内において第28条第1項(給与所得)に規定する給与等(以下この章において「給与等」という。)の支払をする者は、その支払の際、その給与等について所得税を徴収し、その徴収の日の属する月の翌月10日までに、これを国に納付しなければならない。
2 法人の法人税法第2条第15号(定義)に規定する役員に対する賞与については、支払の確定した日から1年を経過した日までにその支払がされない場合には、その1年を経過した日においてその支払があつたものとみなして、前項の規定を適用する。【令】第307条
《改正》平18法010
(源泉徴収を要しない給与等の支払者)
第184条 常時2人以下の家事使用人のみに対し給与等の支払をする者は、前条の規定にかかわらず、その給与等について所得税を徴収して納付することを要しない。

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ベトナムの監査法人

 日系企業がベトナムに進出する場合、必ず監査法人と契約を締結することになる。なぜなら、「DECREE No. 105/2004/ND-CP OF MARCH 30, 2004 ON INDEPENDENT AUDIT」の以下の規定の通り、外資企業は会計監査が義務付けられているからである。
Article 10.- Compulsory audit
1. Annual financial statements of the following enterprises and organizations must be audited by auditing enterprises:
a/ Foreign-invested enterprises;
b/ Organizations engaged in credit and/or banking activities and the Development Assistance Fund;
c/ Financial institutions and insurance business enterprises;
d/ Particularly for joint-stock companies and limited liability companies which participate in listing and trading on the securities market, the audit shall be conducted according to the law provisions on securities trading; if they borrow capital from banks, the audit shall be conducted according to the law provisions on credit.
 それでは、ベトナムにはどのような監査法人があるのか。大きくは以下の3つに分類できる。
 ①BIG4(Deloitte、KPMG、EY、PwC)
 ②ベトナム現地の中小監査法人(日本人会計士の関与あり)
 ③ベトナム現地の中小監査法人(日本人会計士の関与なし)
 日系企業に対するサービスを前提とする場合、我々専門家においては、まず、品質面については、「③<②≦①」と考えられている。①と②の比較が問題となるが、一概には言えない。なぜなら、ベトナムのBIG4の経営戦略において、日系企業自体、または、個々の日系企業クライアントの位置付けにより、投入する経営資源が決まってくるからである。②の方が、小回りが利き、きめ細やかなサービスが受けられる可能性が高い。③については、未知数(やってみないとわからない)である。
 次に、コスト面では、間違いなく「③<②<①」である。BIG4にはブランドがあり、多額の間接費が発生しているので、当然の結果である。③については、そもそもの物価水準と品質が反映されていると言えよう。②については、日本人が日系企業クライアントとベトナムローカル監査法人との間に入り、コーディネーターの機能を発揮する分、コストが上昇する。
 結局のところ、日本親会社が上場企業等であり、経営者の受託責任が大きく、それなりに監査コストをかけられる・かけなければならない企業は①、監査コストをかけられないが、ベトナム語・英語ができるなら③でもやっていけるかもしれない。②は①と③の間に位置する。②の特徴は、日本の公認会計士が日本語で対応する点である。日本の公認会計士ゆえ、日本本国の会計・監査事情を踏まえて対応する。しかしながら、ベトナムにおいて、質実ともに②の監査法人がいかほどあるのか、私が知っている限りでは、あの1社のみのような気がする。
 いずれにせよ、①・②・③のどれを選ぶかは、あくまで、経営判断である。

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UTM

 「UTM」とは「Under Table Money 」の略である。昨年10月、シンガポール公認会計士協会の方とベトナムに関する話をしている際に、彼が教えてくれた言葉である。「ATM」(=Automated Teller Machine)をベースに、その状況を揶揄した言葉であろう。ちなみに、シンガポールでは「UTMは一切ない」とのことである。
 私は国全体がそうではないと信じたいし、そうあっては将来の成長が望めないと真剣に考えているが、ベトナムでは、UTMが散見される。UTMがいけない事は皆承知していると思うが、UTMがあるのが現実なので、ベトナムでビジネスをやっていく上で避けて通れない問題でもある。無論、UTMをどうするかというのは経営判断であり、目に余るUTMを要求された場合等には、当局と闘うという経営判断もあると思う。
 それでは、UTMの会計処理・税務処理はどうあるべきであろうか。ビジネスの現実、UTMの管理、適正な期間損益計算、公平な課税の観点から問題となる。この点、UTMを支払うことを前提とするならば、以下の順序(あるべき順)で考えるべきであろう。
 
①会計上は、「その他経費」等の勘定科目で、「警察署に対する支払い」「税務署に対する支払い」等の事実を示す内容を明記して費用処理する。税務上は否認する。「正直」な処理である。
②会計上は、現地法人日本人マネジメントの給料に含め、当該日本人マネジメントに対する給料として処理する。税務リスクはあるものの、税務上も同様の処理をする。ただし、UTMが当該日本人マネジメントの課税所得となるので、個人所得税がその分増えることになる。
③会計上は、実際は現地法人日本人マネジメントが私的に支出した飲食代等について、公式インボイスを当該会社名で取得し、UTMを交際費としてカモフラージュして費用計上する。税務リスクはあるものの、税務上も同様の処理をする。この場合、会計上・税務上ともに交際費が実態を示さない金額となり、適正な期間損益計算・公平な課税の観点から問題がある。また、管理上、会計帳簿から離れた別管理が必要となる。
④何らかの方法で裏金をプールし、当該プールした金で処理する。会計上も税務上もオフ・バランス処理となるので、非常に好ましくない。また、管理上、会計帳簿から離れた別管理が必要となる。
 私は、公認会計士として、①をお勧めする。それか、せいぜい②か。いずれにせよ、UTMの取扱い・会計処理・税務処理は経営判断であるので、経営者の誠実性が問われることになる。

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消費税等と源泉所得税

 [平成21年4月1日現在法令等]
 弁護士や税理士などに報酬を支払った場合には、所得税を源泉徴収することになっています。
 この場合、源泉徴収の対象となる金額は、原則として、報酬・料金として支払った金額の全部、すなわち、消費税及び地方消費税(以下「消費税等」といいます。)込みの金額が対象となります。
 ただし、弁護士や税理士などからの請求書等に報酬・料金等の金額と消費税等の額とが明確に区分されている場合には、消費税等の額を除いた報酬・料金等の金額のみを源泉徴収の対象としても差し支えありません。
 例えば、税理士からの請求書に、税理士報酬105,000円とだけ記載されていた場合には、源泉徴収税額は105,000円の10%相当額である10,500円となります。
 これに対して、税理士からの請求書に、税理士報酬100,000円、消費税等5,000円と記載されており、報酬金額と消費税等の額とが区分されている場合には、源泉徴収税額は税理士報酬100,000円の10%相当額である10,000円となります。
(所法204、205、平元.1直法6-1)

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外貨建取引の換算

 第4款の2 外貨建取引の換算(左写真は「東インド会社」)
法第57条の3《外貨建取引の換算》関係
(いわゆる外貨建て円払いの取引)
57の3―1 法第57条の3第1項((外貨建取引の換算))に規定する外貨建取引(以下57の3-4までにおいて「外貨建取引」という。)は、その取引に係る支払が外国通貨で行われるべきこととされている取引をいうのであるから、例えば、債権債務の金額が外国通貨で表示されている場合であっても、その支払が本邦通貨により行われることとされているものは、ここでいう外貨建取引には該当しないことに留意する。(平18課個2-7、課資3-2、課審4-89追加)
(外貨建取引の円換算)
57の3―2 法第57条の3第1項((外貨建取引の換算))の規定に基づく円換算(同条第2項の規定の適用を受ける場合の円換算を除く。)は、その取引を計上すべき日(以下この項において「取引日」という。)における対顧客直物電信売相場(以下57の3-7までにおいて「電信売相場」という。)と対顧客直物電信買相場(以下57の3-7までにおいて「電信買相場」という。)の仲値(以下57の3-7までにおいて「電信売買相場の仲値」という。)による。
 ただし、不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務に係るこれらの所得の金額(以下57の3-3までにおいて「不動産所得等の金額」という。)の計算においては、継続適用を条件として、売上その他の収入又は資産については取引日の電信買相場、仕入その他の経費(原価及び損失を含む。以下57の3-4までにおいて同じ。)又は負債については取引日の電信売相場によることができるものとする。(平18課個2-7、課資3-2、課審4-89追加)
(注)
1 電信売相場、電信買相場及び電信売買相場の仲値については、原則として、その者の主たる取引金融機関のものによることとするが、合理的なものを継続して使用している場合には、これを認める。
2 不動産所得等の金額の計算においては、継続適用を条件として、当該外貨建取引の内容に応じてそれぞれ合理的と認められる次のような外国為替の売買相場(以下57の3-7までにおいて「為替相場」という。)も使用することができる。
(1) 取引日の属する月若しくは週の前月若しくは前週の末日又は当月若しくは当週の初日の電信買相場若しくは電信売相場又はこれらの日における電信売買相場の仲値
(2) 取引日の属する月の前月又は前週の平均相場のように1月以内の一定の期間における電信売買相場の仲値、電信買相場又は電信売相場の平均値
3 円換算に係る当該日(為替相場の算出の基礎とする日をいう。以下この(注)3において同じ。)の為替相場については、次に掲げる場合には、それぞれ次によるものとする。以下57の3-7までにおいて同じ。
(1) 当該日に為替相場がない場合には、同日前の最も近い日の為替相場による。
(2) 当該日に為替相場が2以上ある場合には、その当該日の最終の相場(当該日が取引日である場合には、取引発生時の相場)による。ただし、取引日の相場については、取引日の最終の相場によっているときもこれを認める。
4 本邦通貨により外国通貨を購入し直ちに資産を取得し若しくは発生させる場合の当該資産、又は外国通貨による借入金に係る当該外国通貨を直ちに売却して本邦通貨を受け入れる場合の当該借入金については、現にその支出し、又は受け入れた本邦通貨の額をその円換算額とすることができる。
5 いわゆる外貨建て円払いの取引は、当該取引の円換算額を外貨建取引の円換算の例に準じて見積もるものとする。この場合、その見積額と当該取引に係る債権債務の実際の決済額との間に差額が生じたときは、その差額は当該債権債務の決済をした日の属する年分の各種所得の金額の計算上総収入金額又は必要経費に算入する。

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